カバーデザイン・南伸坊 カバーイラスト・赤瀬川原平 解説もどき・村松友視
ザ・キング・オブ・新聞小説。新聞小説が書籍化されると、たいてい挿画がカットされ、新聞掲載紙面とは違う体裁になってしまう。長嶋有の『ねたあとに』などは、高野文子の挿画とともに少しずつ読みたかったなあと思うのだが、それはリアルタイムで毎日こつこつ追いかけていた者だけの特権なのだ。『ゼロ発信』はいつでも、毎日、新聞をめくっているような気分で読める。日記のような小説のような文章からしみ出てくる原平エキスをちゅるちゅる吸って、楽しい。