y o m u : n e l

ヨムヨムエブリデイ

僕の好きな文庫本(26)

カフカ短篇集

池内紀編訳『カフカ短篇集』(岩波文庫)解説・池内紀
長谷川四郎訳『カフカ傑作短篇集』(福武文庫)解説・川村二郎

先日、頭木弘樹 横道誠『当事者対決! 心と体でケンカする』(世界思想社)をとても面白く読んだ。病気がテーマなので面白いという言い方はふさわしくないかもしれないが。
頭木弘樹氏といったら、潰瘍性大腸炎の当事者であるが、他にもアンソロジストの印象が強い。さらに山田太一の熱烈なファンであり、カフカの人でもある。その頭木弘樹編の『決定版 カフカ短編集』 が新潮文庫から今月刊行される。これまで長らく、上の2冊の文庫版カフカ短篇集を愛読してきたのだけれども(他に光文社古典新訳文庫版もある)、ここに新たにもう1冊加わることになる。しかも「決定版」だ。自身の作品への評価が厳しかったカフカが特に愛した15編を厳選したのだそう。それぞれの短篇集に収められている作品が微妙に違っているのが興味深い。ちくま文庫カフカ・セレクションだったらほぼ網羅できそうだが。

WEBみすず(月刊みすずからWEBに移った)に頭木弘樹「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」が連載されている。カフカの『変身』を新訳しながら、超スローリーディングしていく企画で、宮沢章夫横光利一の「機械」をぐずぐず11年かけて読んだ『時間のかかる読書』の『変身』版といえる。