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ヨムヨムエブリデイ

僕の好きな文庫本(25)

スティーヴン・キング『死のロングウォーク』(沼尻素子訳、扶桑社ミステリー)カバーデザイン・コガワミチヒロ イラストレーション・鏡泰裕 解説・奥澤成樹「読んでから見るか、見てから読むか」は、1977年に公開された角川映画『人間の証明』のキャッチコ…

僕の好きな文庫本(24)

小林信彦『本は寝ころんで』(文春文庫)カバー・石崎健太郎 解説・北上次郎今、酒井順子著『本棚には裏がある』(毎日新聞出版)を読んでいる。「週刊文春」連載「私の読書日記」の2014年10月以降分から選んで再構成したもの。それ以前の分は『本が多すぎる…

僕の好きな文庫本(23)

堀江敏幸『河岸忘日抄』(新潮文庫)立体・三谷龍二 写真・広瀬達郎 解説・鷲田清一今年のみすず読書アンケート号の巻末に載っていた新刊告知を見て、これは読まねばとそそられた、シルヴァン・テッソン『シベリアの森のなかで』(みすず書房)を読んでいる…

僕の好きな文庫本(22)

干刈あがた『ゆっくり東京女子マラソン』(朝日文庫)装幀・菊地信義 装画・八木美穂子 解説・芹沢俊介きょうは東京マラソンの日。昔は東京国際女子マラソンというのがあったが、あれはいつ頃だったんだろうと調べたら、「世界初の国際陸連公認女子マラソン…

僕の好きな文庫本(21)

池澤夏樹『インパラは転ばない』(新潮文庫)カバー装画・杉田比呂美 解説・松村栄子杉田比呂美ジャケ本。この夏、マイクル・Z・リューインの翻訳の新刊が刊行され、ミステリマガジンでも特集が組まれた。その際、立て続けに出た三冊すべてのカバー装画が杉…

僕の好きな文庫本(20)

佐野洋子『私の猫たち許してほしい』(ちくま文庫)カバー装画・佐野洋子犬ときたら、やっぱ次は猫でしょう。1982年、株式会社リブロポートより刊行され、1985年、集英社文庫として刊行され、1990年、ちくま文庫として刊行された、著者のはじめてのエッセイ…

僕の好きな文庫本(19)

佐藤正午『私の犬まで愛してほしい』(集英社文庫)カバー・ネモトヤスオ1989年6月25日に刊行された佐藤正午の文庫オリジナルファーストエッセイ集。今月、岩波現代文庫から佐藤正午のライフワーク的エッセイ『小説家の四季 1988-2002』が刊行された。てっき…

僕の好きな文庫本(18)

『尾崎翠』(ちくま日本文学全集)装幀・装画・安野光雅 解説・矢川澄子初めて尾崎翠の名前を知ったのは、中学生のころ。群ようこや中野翠などの読書エッセイによく出てきて、読みたいなあと思っていたのだけれど、当時、創樹社から出ていた『尾崎翠全集』は…

僕の好きな文庫本(17)

トルーマン・カポーティ『夜の樹』(川本三郎訳、新潮文庫)カバー装画・黒田アキ 解説・川本三郎6月6日、気象庁は関東甲信地方が梅雨入りしたとみられると発表した。鬱陶しい季節が始まるが、雨音を聞きながら、雨の物語を読むというささやかな楽しみが自分…

僕の好きな文庫本(16)

佐野洋子『ラブ・イズ・ザ・ベスト』(新潮文庫)カバー装画・佐野洋子 カバー装幀・平野甲賀 解説・白石公子2月22日だから『私の猫たち許してほしい』(ちくま文庫)にしようと本棚の前に立つと、すぐ隣に並んでいたこのうすーい文庫が目に入り、抜き出して…

僕の好きな文庫本(15)

R・D・ウィングフィールド『クリスマスのフロスト』(芹澤恵訳、創元推理文庫)カバーイラスト・村上かつみ カバーデザイン・矢島高光めっちゃ好きなキャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』が手元になかったので、ピンチヒッターとして、お忙しいフ…

僕の好きな文庫本(14)

星野道夫『アラスカ 光と風』(福音館日曜日文庫)装丁・桂川潤1986年に六興出版より書き下ろしで刊行された初めてのエッセイ集に、1995年新たに書き下ろした一章を加え、福音館日曜日文庫より新装版として刊行された(この本、文庫本サイズではないので反則…

僕の好きな文庫本(13)その2

金井美恵子『タマや』(講談社文庫)カバー写真・山田宏一 カバーデザイン・金井久美子 解説・武藤康史子供の頃から優柔不断で、迷った末に何かを選んだあと、やっぱりあれがよかった、あっちにすればよかったとくよくよ後悔し続け、1年たっても2年たっても…

僕の好きな文庫本(13)

金井美恵子『小春日和 インディアン・サマー』(河出文庫)カバーデザイン・金井久美子 解説・斎藤美奈子11月にはいってから穏やかな晴天が続いていて、今日なんて雲ひとつない見事な青空だったから、次の「僕好き」はこの『小春日和』で決まり!と思った。…

僕の好きな文庫本(12)

石田千『屋上がえり』(ちくま文庫)カバーデザイン・平野甲賀 解説・大竹聡暑すぎず、寒すぎず、気持ちのよい風が吹き抜ける屋上日和。知り合いの住んでいるアパートは4階建てで、屋上のような広いテラスが付いている。初夏や初秋に唐揚げやサンドイッチや…

僕の好きな文庫本(11)

村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』上下(新潮文庫)カバー・司修「こんばんは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・村上春樹です」 単発でやっていた頃から、月いちのレギュラー番組になるまで『村上RADIO』をずい…

僕の好きな文庫本(10)

長嶋有『タンノイのエジンバラ』(文春文庫)カバー・斎藤深雪 解説・福永信「群像」8月号の特集「長嶋有の20年」を読んだ。自分が『タンノイのエジンバラ』に出会ってから、もう20年近くもたったのだ。その時読んだのは、高野文子の装画が表紙の単行本版だ…

僕の好きな文庫本(9)

椎名誠・選 日本ペンクラブ編『素敵な活字中毒者』(集英社文庫)カバー・山藤章二 鼎談解説・目黒考二 鏡明 椎名誠このたび、ちくま文庫入りした岡崎武志編『愛についてのデッサン 野呂邦暢作品集』の帯にでかでかと「文庫になることが奇跡の1冊」とある。…

僕の好きな文庫本(8)

村田喜代子『八つの小鍋 村田喜代子傑作短篇集』(文春文庫)装画・ささめやゆき 装幀・菊地信義 解説・池内紀「ものすごく面白いのに、なぜかすぐに本が絶版になってしまって地団駄をふむ作家のツートップが、私にとっては河野多惠子と村田喜代子だ。」「『…

僕の好きな文庫本(7)

レイモンド・カーヴァー『ぼくが電話をかけている場所』(村上春樹訳、中公文庫)カバー・落田謙一 日本で最初に翻訳出版されたレイモンド・カーヴァーの作品集で、マイ・ファースト・カーヴァーでもある。日本の読者に紹介するために訳者がセレクトして編ん…

僕の好きな文庫本(6)

川本三郎『ちょっとそこまで』講談社文庫カバー装画・安西水丸 解説・池内紀3度目の緊急事態宣言ということで、安西水丸カバーしばりも3連発目。4月24日から世田谷文学館で開催予定だった安西水丸展も、24日に始まったぞと思ったら、25日から休館になってし…

僕の好きな文庫本(5)

太宰治『女生徒』角川文庫カバー・安西水丸 解説・磯田光一、小山清太宰治に夢中になったのは、おそらく中学生のころで、黒い背表紙の新潮文庫をこつこつ集めては、読んでいった。もっと後になって、ちくま文庫の『太宰治全集』を揃えた。この角川文庫の『女…

僕の好きな文庫本(4)

安西水丸『アマリリス』新潮文庫カバー・安西水丸 解説・清原康正ムスカリからのアマリリス。昔は、安西水丸といったら、「村上春樹の本のイラストを描く人」という認識しかなかったが、純粋にそのエッセイや小説を愛読するようになったのはいつ頃からだろう…

僕の好きな文庫本(3)

安野モヨコ『くいいじ』文春文庫装幀・大久保明子 装画・上楽藍 解説なし上下二分冊、函入り、精興社書体のゴージャスなルックスの親本が合本し、文庫一冊にコンパクトにまとめられた。文章はもちろん、本文イラストを眺めているだけでも楽しめる。裏表紙に…

僕の好きな文庫本(2)

赤瀬川原平『ゼロ発信』中公文庫カバーデザイン・南伸坊 カバーイラスト・赤瀬川原平 解説もどき・村松友視ザ・キング・オブ・新聞小説。新聞小説が書籍化されると、たいてい挿画がカットされ、新聞掲載紙面とは違う体裁になってしまう。長嶋有の『ねたあと…

僕の好きな文庫本(1)

黒川創『明るい夜』文春文庫デザイン・平野甲賀 イラスト・北沢街子 解説・藤本和子今、春陽堂書店から初期の作品集が復刊されている黒川創の本のなかで一番好きな小説。読んだ時期がよかったのか、その時の自分に悲しいほどしっくりきて大切な本となった。…