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ヨムヨムエブリデイ

自分のために料理を作る

四月も半分が過ぎたが、なかなか落ち着かない毎日。

山口祐加 星野概念『自分のために料理を作る』(晶文社)を読んだ。他人のために料理を作ることはできるのに、自分一人のために料理を作れない人が、自分のために料理を作れるようになるヒントが色々書かれているのだが、あまりピンとこなかった。というのは私は、まったくその逆で、自分のための料理はじゃんじゃん楽しくできるのに、他人のために料理を作るとなるととたんにいやになるからだ。

前に、作りたくないのに作らされる女と食べたい男という組み合わせで生活していたときはほんとにしんどかった。毎日ヘロヘロに疲れて帰って料理しているのに、なーんもしない(する気がない)でごろごろくつろいで、ただごはんができるのを待っている人がそばにいると、え、なんでわしばかりがこんな目にというネガティブ思考にはまり込んでしまう。そしてできあがった料理が、気に入らない、口に合わないなどで、ひと口食べて、あるいは全然口をつけずに脇へ押しやられ、ふりかけや佃煮なんかでいいわーとなったときの絶望感。そういうのが続くと自分がどんどん削られていくような気がした。

それが自分のためだけに、となると俄然やる気がでる。自分が食べたいときに、食べたいものを、食べたいだけ作ればいいし、体がしんどいときは、外食やテイクアウトのものでいい。失敗しても、次はこうしようとチャレンジできる。ストレスフリーですこぶる快適な生活。なんとなく孤食ってネガティブに語られがちだけれど、それをこれだけ享受している者もいるのだ。野村麻里『ひとりで食べたい わたしの自由のための小さな冒険』(平凡社)もその楽しさについて書かれていて面白かった。
誰も無理せずに、作りたい人と食べたい人の需要と供給がバッチリうまくいっている家は素晴らしいと思いますよ。