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ヨムヨムエブリデイ

痛い本

休み。知り合いと昼ごはんを食べて解散したあと、電車に乗らずぶらぶら歩いて帰る。風がおそろしく冷たいが歩いていると身体がぽかぽかしてきてどこまでも歩けそうな気がしてくる。ポケットに入れていたアニー・エルノー『嫉妬/事件』(ハヤカワepi文庫)の「事件」を、ココア休憩しながら読み終える。ま、股が痛い。股も痛いし、心も痛い。昨年の痛い本・オブ・ザ・イヤーは、花村萬月の『ハイドロサルファイト・コンク』だったけれども、早くも今年の、股が痛い本・オブ・ザ・イヤーが出てきてしまった。

帰ってテレビをつけると「バナナマンのせっかくグルメ」をやっていて、見るとはなしに見ていると、こんな道行く人におすすめの店や料理を訊いて、自らお店に撮影交渉して食べに行くのなんて、自分には絶対無理だなと思う。あと、「鶴瓶の家族に乾杯」で、はじめは鶴瓶さんのうしろにくっついてるだけでいいけれど、途中から一人にされて、やはり道行く人に声をかけ、家にまで上がり込んで世間話をするとかも死んでも無理だ。もう一つ、三山ひろしのけん玉ギネスチャレンジに出るのも無理。自分が失敗して全部チャラになる未来しか想像できない。これが今思いつく私の3大ムリなこと。

夜、小砂川チト『家庭用安心坑夫』(講談社)を読み始める。この前の前の芥川賞候補作。手作り風の帯に「選考委員小川洋子さん激推し‼」とあり、あの体温の低そうな静かな佇まいの小川洋子さんに「激」とか「推し‼」とか全然似合わなすぎてインパクトがあった。

何もない日々


小学生のころ「本の雑誌」で目黒考二さんを知り、以来たっくさんの面白い本を教えてもらいました。こんなにも本を大好きになったのも目黒さんのおかげです。
私の人生を豊かなものにしてくださった目黒さんにありがとうを伝えたいです。
何もない日々を望んでいるのに、何もない日ってないものですね。

最強寒波

昨夜のニュースで、十年に一度のものすごい寒波がやってくるから雪が積もるかもよ、と言っていたので1時間早めにアラームをかけて起きると雪の気配はまったくなし。せっかく起きたので早めに出て朝マックして行く。いつも頼むソーセージマフィンとコーヒーのコンビが240円に値上がりしていた。先日は、ドトールのモーニングからジャーマンドックが消えていてがっかりした。
リニューアルにより“力強いコクとクリアなキレ”を実現した(ビールか!)というコーヒーを飲みながら、ちょこっと本を読んでいく。井上荒野『小説家の一日』(文藝春秋)。最初の一篇「緑の象のような山々」を読んでいて、この特徴的なくるんと巻いている「お」とか「ふ」はもしや、と思ったらやはり精興社書体だ。井上光晴の本に精興社書体のがあった記憶があるが、井上荒野さんも精興社書体の人だったかな、今まで気づかなかっただけかもしれない。他の本もチェックしてみよう。思わぬところで精興社書体に出合って少し得した気分だ。
昨年、森田真生『偶然の散歩』を読みかけたら、幼い息子と散歩に行ったみたいな話で興味を持てず、途中で読むのをやめていた。そんなとき、『偶然の散歩』の本文途中、書体が「游ゴシック体」から「モトヤ明朝」に変化し、書体が読書欲を刺激するのだと正木香子さんが「本の雑誌」に書いているのを読み、再び『偶然の散歩』を手に取り、最後まで通読できたのだった。
結局夜まで雪は降らず、風が異様に強かった。冷え切った体で帰って鍋であったまる。冬の醍醐味。明日の方がもっと寒気がすごいらしい。

抜け殻

雨模様の休日。ウイークデイは、ハイシーズンを迎えている仕事にすべてのエネルギーを搾り取られるので、休みの日曜日は布団の中で抜け殻のようになっている。いつまで続くのだろう。早く終わってほしい。でも、抜け殻でも本は読めるし、動画も見られるので、抜けても抜けてなくてもたいして関係ないように思う。
先週録画しておいた、桑子さんが沢木耕太郎にインタビューする「クローズアップ現代」と、校正者の大西寿男さんの「プロフェッショナル仕事の流儀」をこたつに寝ころがりながら見る。期待を裏切らない黒タートルの沢木耕太郎
数日前に読み始めた荻堂顕『ループ・オブ・ザ・コード』(新潮社)を読み継ぐ。これは年末の新聞書評欄の私のベスト3コーナーで、宮部みゆき、小川哲の両氏が挙げていて、このふたりが選ぶんだからそりゃおもろいだろうと手に取った。新聞とかネットでちょっとでも興味を惹かれた本はとりあえずメモしておいて、図書館に行ったときにあれば借りる。がっつり読みたい&欲しい本は買うけれど、なんとなく気になるなあというものはまず借りて読んでみる。そこからハマったり新しい世界が広がったりするので図書館は本当にありがたい。今は、やはり年末の特集で春日武彦が推していたデルフィーヌ・ド・ヴィガン『子供が王様』(東京創元社)と岩井志麻子『煉獄蝶々』(角川書店)とか、文庫新刊コーナーで紹介されていた瀬戸内寂聴藤原新也『若き日に薔薇を摘め』と団鬼六『死んでたまるか』(この2冊は文庫化される前の単行本)、他にミシェル・ザウナー『Hマートで泣きながら』(集英社)などを借りている。
家庭菜園が趣味の友人から大根をたくさんもらったので、大根おろし、大根多めのおでん、味噌汁の具などにして楽しんでいる。ネットで知ったジップロックを使う大根の簡単漬け物にハマっていて、音楽に合わせて鼻歌を歌いながら機嫌よく具材、調味料を仕込んでいるとあっという間に日が暮れる。

ヒマか?

7日は職場で七草粥が配られた。ボスがイベント好きで仕事始めの日は毎年恒例のお年玉(2千円)をもらったが、テイクアウトの七草粥は初めての試みだ。ほか弁の味噌汁用ようなプラスティックの容器に入っているお粥を見たとき、げんなりして、まったく食欲が湧かなかった。食べてみるとじんわり優しく胃袋に沁みわたり、七草粥ってこんなにおいしいものだったんだと思った。この七草粥のレベルが高いのか、自分の味覚がやっと七草粥に追いついてきたのかわからないが、最初「俺いらねー」と言っていた同僚がうまいうまいと平らげていたので本当においしかったのだろう。うちのボスは、忙しさの嵐が去って放心状態でボーッとしているときに必ずやってきて、「相棒」の角田課長のように「ヒマか?」と言うので、ヒマじゃねーしとみんなをイラっとさせているが、お調子者で憎めないところがあって、わりと慕われている。2023年1月7日は七草粥に目覚めた日となった。お年玉は、西暦が2000年代の間はずっと2千円だそうだが、3千円になる頃はここの誰もいないと思う。

正月明けから地獄のような日が続いていたので、ここにきての2連休には救われた。エネルギーチャージ。
読んだ本、三木那由他『会話を哲学する』、くどうれいん『虎のたましい人魚の涙』、乗代雄介、温又柔、澤村伊智、滝口悠生能町みね子『鉄道小説』。