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ヨムヨムエブリデイ

ひるめしのもんだい

粗食インスタグラム

朝起きて、コーヒー飲みつつネットニュースみたいなのを見て、口から出たひとことが「かっ、亀山くん!」だった。ひとしきり驚いた後、ちゃちゃっとおにぎりを握り出勤。暑くなったから傷まないように、具は梅干し。昼休みが取れたり取れなかったりするので、ワンハンドでサッとつまめるおにぎり弁当は相変わらず続いていて、まったく飽きない。母は、同じメニューが2日続くと死刑になるっていうくらい恐れていた。それはたぶん、同居していた姑や父が文句を言っていたからだと思うのだけれど(ひどい)、私は、好きなもの(カレー)なら毎日続いても平気だ。というか、むしろそれがいい。

ここのところ、昼休みのアテはルシア。この本が刊行されるちょっと前に前作の『掃除婦のための手引き書』が文庫化された。それが、単行本のミニチュア版という感じでとてもよかったので、『すべての月、すべての年』は文庫化されてから読むぞ!と決心していたのだが、待てなかった。3年は長すぎる。これら2冊に、A Manual for Cleaning Womenの43篇すべての訳が収められているそうだ。訳者あとがきに「アルバムで言えば捨て曲なし」と書かれているが、そうは言っても、もし一冊目がさっぱり売れなかったら二冊目は出ないかもしれないわけで、そうなるとやはり、これぞ!という短編は一冊目にもってくるのではないか、二冊目はその残りものなのでは?と思っていたのだけれど、全然そんなことはありませんでした。

同僚からもらった(ちっちゃくなった)キットカットの甘さが疲れに効く~。おにぎりを包んできた布が、村井理子さん家のハリーさんのベッドシーツとおそろ柄。

シリーズもの再び

ブルーマンデー。湿気になけなしのやる気を奪われる。フローリングワイパーがべたついて滑らない。

『捜査線上の夕映え』を読み終える。「シリーズものは最新作を読め」という北上次郎の主張を知ってから、シリーズものを読む順番とかを以前ほど気にしなくなった。『捜査線上の夕映え』は火村シリーズの最新長編。読後にシリーズの作品リストを眺めながら、これ読んだこれ読んでないとやっていたら、このすぐ前の長編『狩人の悪夢』と『鍵の掛かった男』を読んでいないことがわかった。そうそう『鍵の掛かった男』はその分厚さにひるんで保留にしていたのだった。検索の途中、この火村シリーズがすぐれたシリーズ大衆小説に贈られる吉川英治文庫賞を受賞していることを知った。2016年から設けられた賞で、他に今野敏 「隠蔽捜査」シリーズ、小野不由美十二国記」シリーズなども受賞している。

もうひとつ、S・J・ローザン『南の子供たち』(創元推理文庫)を読んで、リディア&ビルシリーズを最初から読みたいと思った。やはり読後に作品リストを見ていると、MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞長編賞を受賞した『冬そして夜』を一冊読んだきり。どうしてこんな超有名なシリーズを読まずにきてしまったのか。同じ朝倉めぐみカバーつながりのウィンズロウのニール・ケアリーシリーズやドーソンのジェリシリーズなんかにはハマりまくっていたのに。でもこれから読める楽しみがある。昔の自分、読まないでいてくれてありがとう。過去作はほとんど品切れのようなので、ブックオフや古本屋で見つけるか、図書館から借りてくるか。リストを順番にメモしていく。こういう本まわりの地味な作業をやってるときがいちばん楽しいなあと思う。

これは、アレだな

先日「たまむすび」を聞いていたら、本の紹介コーナーでブルボン小林が、高橋源一郎の『これは、アレだな』(毎日新聞出版)を推していた。そうそうこれ読もうと思ってたんだとすぐに読み始め楽しく読み終える。その中で、瀬戸内寂聴の『いのち』の素晴らしさについて触れていた。この本は、河野多惠子、大庭みな子との熱く、激しい友情がテーマになっているとあり、このふたりに興味があるので、今度はさっそく『いのち』を読む。著者が瀬戸内寂聴で、タイトルが『いのち』ときたら、読まず嫌い王決定戦に参加できるくらい、自分の意志では絶対に手に取らないタイプの本だけど、こんなふうに次に何が起こるかわからない感じはやはりワクワクする。『これは、アレだな』を読むまでは、瀬戸内寂聴に『いのち』というタイトルの本があることさえ知らなかったのだから。
私の最近の「これは、アレだな」は、川上未映子『春のこわいもの』所収の「ブルー・インク」は村上春樹だな、だ。特に「螢」を連想した。これは、アレ、というかオマージュなのかと思った。

「すばる」7月号をぱらぱらしていたら、楽しみにしている読書日録コーナーの担当が今月から三浦直之に。先月号まで木村紅美だったからこの欄の人選はかなり好み。三浦直之が有栖川有栖の『捜査線上の夕映え』を面白いと言っている。小説の途中から雰囲気ががらりと変わるのだそうで、そのチェンジ・オブ・ペースを味わいたくて次は『捜査線上の夕映え』を読むことにする。ちょっと前まで火村シリーズの新しいのを読むことになるなんて思ってもいなかったのに。曲がり角の先に、何があるかは分からないけど、きっと素晴らしい世界があるって信じてる。

僕の好きな文庫本(17)

トルーマン・カポーティ『夜の樹』(川本三郎訳、新潮文庫

カバー装画・黒田アキ 解説・川本三郎

6月6日、気象庁関東甲信地方が梅雨入りしたとみられると発表した。鬱陶しい季節が始まるが、雨音を聞きながら、雨の物語を読むというささやかな楽しみが自分にはあって、雨の季節に真っ先に思い浮かべるのが、カポーティの「無頭の鷹」なのだ。今、文庫で簡単に入手できるカポーティの短篇集は、この『夜の樹』と、『カポーティ短篇集』(河野一郎訳、ちくま文庫)とアンリ・カルティエ=ブレッソンが撮影した若きカポーティポートレートがいかす『誕生日の子どもたち』(村上春樹訳、文春文庫)の3冊(『カメレオンのための音楽』ハヤカワepi文庫もあるが)で、そのどれにも「無頭の鷹」は収められている。それぞれの文庫の収録作には特色があって、ちくま文庫のは旅をしながら読みたくなるし、春樹訳のはクリスマスの頃に読みたくなる。私が好きでいちばん手に取ることが多いのが「ミリアム」「夜の樹」などが入っているこの『夜の樹』だ。黒田アキのカバーがシャレている。今年も「無頭の鷹」を開く。

駆け出していく人間たちの足音と雨の音がまじり合い、舗道で木琴のような音をたてる。さらに、ドアが急いで閉められる音、窓がおろされる音が聞こえてくるが、そのうち、あたりは静かになり、雨の音しか聞えなくなる。やがて、彼女がゆっくりとした足どりで、街灯の下に近づいてきて彼の横に立つ。空は、雷で割れた鏡のように見える。雨がふたりのあいだに、粉々に砕けたガラスのカーテンのように落ちて来たからだ。(p.158)

SPARKLE

休み。あっという間に月末になり、5月分の代休をあわてて消化する。布団の中で、(いつもなら自分が乗っているであろうぎゅうぎゅうの)電車や車の走る音、他の部屋から伝わってくる生活音を聞きながらトロトロと二度寝する気持ちよさ。ひさびさの平日休みなので、銀行、郵便局などに行くため昼前に出る。モーニングサービスの時間に駆け込み、朝昼兼用のごはん。トースト、サラダ、ゆで卵、コーヒーのセット。ただ茹でただけの卵がモーニングだとなんでこんなにおいしいのか。

ずっと鞄に入れたまま忘れていた自動車税を払う。前は仕事で夜勤があり車が必要だったが、今は特に必要がない。いろんな維持費のことを考えると手放した方がいいのはわかっているが、決心がつかずにズルズルと。
こないだの晴れて暑かった日曜日、友人を誘ってドライブに出かけた。海岸線を走る車の窓から入ってくる風が心地よく、海がキラキラキラキラ眩しくって、カーステレオから山下達郎の「SPARKLE」のイントロが流れてきたとき、夏の最初の朝だ!と思った。『たんぽぽのお酒』だ。ひろがる(ひろがる!)世界は(せかいは!)不思議な(ふしぎな!)輝き~を、バックコーラスを友人と勝手に担当しながら、ああ、やっぱり車っていいな、可能なあいだは、手放さずにいようと思いなおす。

所用をすべて済ませ、コーヒーフロートで休憩。コーヒーフロートは桜庭一樹『少女を埋める』の効果。読んだ本に操られている。スープを煮込んでいる際に浮いてくる灰汁(あく)をすくう要領で、アイスクリームと液体の境目の灰汁状の部分ばかりちまちますくって食べるので、おいしいのかおいしくないのかよくわからない。でも灰汁状のものを見ると、すくわずにはいられない。

津村記久子『やりなおし世界文学』(新潮社)が出ている。2013年に休刊になった毎日新聞社のPR誌「本の時間」に連載されていた分も収められていてよかった。この連載を読んで、モームの『アシェンデン』を読んだのだった。