柴崎友香『続きと始まり』 高瀬隼子『うるさいこの音の全部』 金原ひとみ『ナチュラルボーンチキン』 柴崎友香『あらゆることは今起こる』 永井玲衣『世界の適切な保存』 小山田浩子『小さい午餐』 花田菜々子『モヤ対談』 江國香織『読んでばっか』 『私の身体を生きる』 『うたわない女はいない』 おまけ・M・W・クレイヴンのワシントン・ポーシリーズ
『続きと始まり』年の初めに読み終えた早々に、今年の一冊はこれだと確信した。今もまだ終わらない続きの途中。
『うるさいこの音の全部』高瀬隼子の小説の登場人物の感じ悪さがとても好き。西村亨『自分以外全員他人』を読んだ際、高瀬さんの「いい子のあくび」を思い浮かべたのだが、二作目の『孤独への道は愛で敷き詰められている』の帯コメントを高瀬さんが書いていたので、繋がってる!と思った。同時期に読んだ小川哲『君が手にするはずだった黄金について』も感じ悪くて印象に残ってる。
『ナチュラルボーンチキン』今年最後に読んだ小説。読み終えた勢いで10冊入り。こういうのは順番が後のほうが記憶が鮮明で有利だと思う。自分もルーティンゾンビなので、他人事ではなかった。
『あらゆることは今起こる』自分が読むのに大変苦労した『族長の秋』を、柴崎さんは読みやすくて一気に読んだと書いていて、一冊の本も人によってこんなに受け止め方が違うんだと思った。柴崎さんの小説の秘密がほんの少しわかった気がした。
『私の身体を生きる』タイトルと執筆陣を見て、また流行りのアレ系の本かーと思っていたら、とんでもなかった。読む前に萎えなくてよかった。
『うたわない女はいない』句集や歌集を読むのは苦手だが、句や歌+エッセイ形式の本は好きだ。労働短歌+エッセイ。良い企画。
おまけのワシントン・ポーシリーズ ずいぶん遅れてこのシリーズにハマり、今年後半、キュレーター→グレイラット→ボタニストと分厚い本を読むのが至福のひとときだった。やっと追いついたよ。
年末、いろんな媒体でプロが選ぶ「今年の3冊」といった特集が組まれます。新刊が中心で、それに飽きてきたころに、個人がSNSでそれぞれのベスト10冊のリストを挙げてくるのですが、これを眺めるのがとても面白い。古いの新しいの、翻訳物、エンタメ、ミステリ、SF、ノンフィクションなどおかまいなくやりたい放題というか選びたい放題で、自由過ぎてうれしくなります。本が読まれなくなったと定期的に話題にされますが、本を好きな人ってこんなにいるんだと毎年そのリストを見ながら思います。なかでも、古典やかなり前の話題作などをマイペースで粛々と読んでいる人に惹かれます。私は、情報に踊らされてつい新刊に手が伸びちゃうのですが、もっとマイペースに楽しんでいけたらなと思っています。来年はどんな本に会えるのでしょうか。平穏に本を読める日々がずっと続くことを願っています。