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ヨムヨムエブリデイ

明日を配らないで

10連休になるような職場でいまだかつて働いたことがなく、今もカレンダーの赤い日だけが休みと決まっている。やっと明日から待ち望んだ4連休。それまでが長く険しかった。底に穴の開いた船に溜まった水をみんなで汲み出しているのに、汲んでも汲んでも水は減らず、たった数日休むだけなのになんでこんなことになるのか。津村記久子の小説にでてくる「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事」に憧れる。

連休の前夜は気分がゆったりしている。スーパーで寿司や柏餅なんかも買って、本屋に寄りぶらぶら歩いて帰る。夜風が冷たくて気持ちいい。リュックに入れている読みかけの黒川博行『悪逆』が重くて、小ぶりの石地蔵を背負っているよう。暗い夜道を歩いていると小ぶりの石地蔵が「御前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね」とか言いそうだ。
食事、入浴など済ませ、あとは寝るだけ。疲れたー。


寝た者から順に明日を配るから各自わくわくしておくように 佐伯紺「歌壇」2014年2月号

お願いだから明日を配らないで。一日減っちゃうから。そのために今夜は、雪山にいると思って、眠らんぞ眠らんぞ眠らんぞー。明日、明日というが、目が覚めると明日ではなく今日だった、という尹東柱の詩「내일은 없다(明日はない)」にあるとおり、実際明日を体感することはできない。寝て起きたら、もう今日だからだ。でもたとえ眠らなくても、午前零時を過ぎたら、どっちみち今日になってしまう。わくわくしてるのに何だか悲しい。