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僕の好きな文庫本(24)

小林信彦『本は寝ころんで』(文春文庫)

カバー・石崎健太郎 解説・北上次郎

今、酒井順子著『本棚には裏がある』(毎日新聞出版)を読んでいる。「週刊文春」連載「私の読書日記」の2014年10月以降分から選んで再構成したもの。それ以前の分は『本が多すぎる』というタイトルで文春文庫からオリジナル文庫として2014年に刊行された。

この「私の読書日記」は、私が読書日記の類を愛好するきっかけとなった「週刊文春」のご長寿連載だ。初期の頃は、立花隆鹿島茂池澤夏樹などのメンバーが記憶に残っているが、ティーンの私が一番楽しみに読んで大きな影響を受けたのが小林信彦だった。本書はその連載をまとめた最初の一冊。あとがきに、この連載は初めは僕ひとりでということったが、毎週は無理なので四人交替でやることになった、と書かれている。アン・タイラーパトリシア・ハイスミススティーヴン・キング橋本治斎藤綾子などを愛読するようになったのは小林信彦の読書日記のおかげ。さらに本書には「他人に教えたくない面白本=ベスト50」のおまけが付いている。思わぬところで、北上さんの解説に再会できて嬉しかった。

「私の読書日記」の連載についてもう少し。わりと新しめのところでは、だんだん自分の病気がネタになっていく米原万里のものが印象に残っている。あと、本のチョイスの雑読ぶり、脈絡のなさが自分の好みとちょっと似ている山崎努や、穂村弘のを楽しく読んでいた。
最新の執筆メンバーは、鹿島茂、瀬戸健、吉川浩満橋本愛朝井リョウ酒井順子の6名(鹿島茂、長い!)。 朝井リョウが最近ホラー小説にハマっているようなのが面白い。ガッツリした書評よりも、読書日記にチラッと出てくるだけの本になぜかそそられたりする。

小林信彦の(昔の)文庫本は、新潮も角川も文春も集英社もすべて背表紙が黒なのがかっこいい。