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ヨムヨムエブリデイ

がっぽん大賞

毎日忙しい、としか書くことがない。しかし、正月休みで乱れまくった仕事の波がようやく均等にならされ、忙しいなりにいつものペースに戻りつつある。正月のお土産のお菓子コーナーもきれいになくなったので、今日は差入れにいただいたとらやの羊羹。「夜の梅」を選ぶと、同僚から、わっ、エロ~いと言われる。もし爽やかな「湘南の梅」という名前だったらエロくないだろうか。
昼休み、いつものおにぎりの後に緑茶をいれてきて、羊羹の上部のアルミをくるんと取って、下から指で押し上げながら少しずつかじる。糖分がしみる。川上弘美『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』(講談社)を読む。面白~い。充実の昼休み。

冬の通勤時に読むのは文庫本が多い。コートのポケットにすっぽり入るのでいつでもサッと取り出して読めるのがいい。冬の楽しみのひとつ。ただし『トゥルー・クライム・ストーリー』(新潮文庫)や『ネイティヴ・サン アメリカの息子』(新潮文庫)ぐらい分厚くなると取り出しづらくなるのだけれども。
今はポール・オースター『冬の日誌/内面からの報告書』(新潮文庫)を入れているが、こんなに冬のポケットに似合う文庫ってある? 6年ほど前、それぞれ単行本で出て、合わせて4500円ぐらいしたものが合本され文庫化。合本好きにはたまらない。早くも今年のがっぽん大賞をあげたい。そしていつも思うのだけれど、新潮文庫に付いているスピンは外で読むとき本当に便利。

冬晴れの日におでん

先週の日曜日(7日)は友人と一緒に神社で振舞われている七草粥を食べてから映画を見てお茶していい日だねーと言いながら帰ったのだが、次の日から耳が詰まったような感じが始まり、軽くめまいがしてきた。あ、いつものやつだと木曜日(11日)に有休をもらい薬を飲んで安静にしていた。

前回のひどいめまいの発作はいつだったっけと日記を見ると、2020年の1月13日だった。「立って地獄、寝て地獄、吐き気までして何も食べられない」なんて書いてる。今回は早めの対処がよかったのか症状は軽くて済んだ。だんだん自分の体の操縦法がわかってくる。正月休み前後のあまりの忙しさと、休み中の爆食&ぐうたら生活のギャップに体というか自律神経が悲鳴をあげているのだろう。

今朝起きると昨夕の冷たいみぞれが嘘のようなスコーンと青く澄んだ冬晴れ。洗濯して、おでんを煮込みながら今日も一日ゆっくりする。穏やかな日曜日。岸政彦『にがにが日記』を読む。

こんな感じで読んでます

『それは誠』は昨年、主人公が鼻について挫折したので再挑戦。乗代雄介は純文界の西村京太郎というか、次はどこが舞台になるのだろうと気になる。WEB小説丸に連載されている〈風はどこから〉を地図を見ながら読むのがすごい楽しみ。毎回かなりの距離を歩いているようだ。

新年

龍ジャケで今年もよろしくお願いします

新年が始まったと思ったらもう6日。4日に仕事始めでたった3日間しか働いていないのにげっそりやつれた。明日からの2連休が救い。
自分の住む町で地震があったとき、遠く離れた場所でもっとすごい規模の地震が起きて大変なことになっているんじゃないかと東日本大震災のときから考えるようになった。その後の地震速報でそうでないことを確認してほっとすることが多いのだが、今回は悪い予感が当たった。

2023年の10冊

川上未映子『黄色い家』/津村記久子『水車小屋のネネ』/阿部和重シンセミア』/阿部和重『オーガ(ニ)ズム』/パク・ソルメ『未来散歩練習』/ク・ビョンモ『破果』/斎藤真理子『本の栞にぶら下がる』/西加奈子『くもをさがす』/キム・ホンビ『多情所感』/小野寺史宜『銀座に住むのはまだ早い』


『黄色い家』『水車小屋のネネ』は2023年の私のツートップ。未映子さんのエッセイ集『深く、しっかり息をして』もよかった。谷崎賞授賞式で津村さんが着ていた11ぴきのねこのシャツが可愛かった。さすがに授賞式はバンドTシャツじゃないんですね。シンセミア2003年に刊行された本を20年後にようやく読めて満足。今夏の異常な暑さとともに記憶に刻まれた。『オーガ(ニ)ズム』文庫化された分厚い上下本を読んでいる2週間がとても楽しかった。『未来散歩練習』はじめはとっつきにくかったが不思議とクセになる読み味で読みながら頭の中でぐるぐる色んなことを考えさせられた。いい時間だった。『破果』小道具の「錠剤」がガツンと効いていた。『本の栞にぶら下がる』この本にはぶら下がる栞紐(スピン)が付いていない。その代わりというのか、裏表紙にちょっとした仕掛けがあって、その仕掛けをつい指でつまみそうになる。くぼたのぞみとの往復書簡『曇る眼鏡を拭きながら』もよかった。いま脂ノリノリの斎藤さんの「ちくま」の新連載も楽しみ。『くもをさがす』日本とカナダの医療システムの違いが興味深かった。一番深刻なはずの手術の場面でのツッコミの連打に一番笑わせられた。西加奈子のサービス精神に脱帽。『多情所感』読みながら何度膝を打ったことか。『銀座に住むのはまだ早い』家賃5万以下の物件に住むと仮定して東京のいろんな町をめぐるエッセイ。グーグルマップ片手に読んだ。図書館に寄り、公園を歩き、ランチを食べ、最後に喫茶店で美味しいコーヒーを飲んで帰る。こんな散歩したいなあ。


以上、思いついたままに。私は本に何も求めていなくて、読んでる数時間、数日間が楽しければただそれだけでいいです。おいしいものを食べて本を読んでいられれば、いつも上機嫌。柴崎さんの新刊もまだ読んでいないけれど、『シンセミア』なんか20年も待っててくれたんだから大丈夫。来年どんな本に出合えるのか楽しみです。では、(希望を込めて)良いお年をお迎えください。

なんてことない 아무것도 아니야

昨日は仕事納め。お昼に、今年もお疲れ~ごくろうさんとチーム長からうな重の支給あり。飲める鰻。12月は尋常でない忙しさだった。もうヨレヨレである。何はともあれ無事終了した。今日は一日骨休めして明日帰省の予定。こちらでずっとのんびりしていたいがそうもいかない。

今月初めエアコンの工事があったおかげで、ベランダや窓ガラスもきれいにして部屋も片付けたので、それが大掃除になってよかった。年賀状も年々縮小していってる。仕事関係の人は年賀状を遠慮しましょうという取り決めが普及し、親しい友人はLINEだし、あとは年賀状を出したい人だけになったので、年賀状に対する義務感がなくなり楽しく書き終えた。色々なことがだんだんシンプルになっていく。いいことだ。

11月下旬のミステリーランキングから始まった今年のベスト特集も新聞、雑誌、WEBなど様々な媒体でおおかた出尽くし(もう満腹!)、鴻巣友季子さんの2023年のおすすめ小説と、朝宮運河さんによるベストホラー2023が発表されたら、いよいよ暮れも押し迫ったなという感じだ。

海の向こうでは戦争が行われ、国内はどうしようもなくゴタゴタしているが、個人的にはいい一年だった。仕事は大嫌いだが、その代償として給料が支払われ、それで好きなものを食べて買って本を読んで楽しく生活していけるのだから、満足している。これ以上望むものはない。今楽しみなのは、コタツにもぐってアイスを食べながらの読書。さあ、次は何を読もうかな。