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ヨムヨムエブリデイ

はるみときよみ

昼間は晴れて暖かかったが夜には雨。仕事はやや落ち着いてきた感あり。昼休みに同僚が「はるみ」が来たー!と騒いでいるので、えっ、はるみって誰?ボスの愛人?スナックのママさんかなんか?と思っていたら、みかんのはるみがどこかから届いたということらしかった。ひとり3個ずつ配給されてさっそく1個剥いて食べる。甘くて香りがよくておいしい。春の香り。

Webでも考える人の小山田浩子の「小さい午餐」が更新されていたので、ヤッホーと読み始める。今回はラーメン屋でラーメンを食べたってだけの話が、例によって改行少なくみっちり書き込まれていて、これが面白い。いろいろ複雑な注文を済ませたあと、岩波文庫の『失われた時を求めて 5 ゲルマントのほうI』を読みながら待つところなんか、ラーメン屋でプルースト!って思うのだけど、そのあとに「なんとなく場違いなような気がするがこの本が場違いでない場所だと私自身が場違いな気がする」と書くところとか、「ありがとうございました、ましたー、マシターァ」が何度も出てくるところとかよかったな。

特に猫好きというわけではないのだが、この数日間に放送された、ネコメンタリーの村山由佳養老孟司、岸政彦編をまとめて見て思っていた以上にグッときてしまった。岸政彦編のバックに流れていたマーラー5番が耳に残っていて、ずっと聞いている。

たい焼き

今週もやっと一週間が終わる。月曜が祝日だったので一日短かったはずなのだが、すんごく長かった。
昼はボスのもらったチョコ(同僚が値段サーチ済)をつまんだだけだったので、退勤後は低血糖でふらふら。とりあえずたい焼きとコンビニのコーヒーを買いベンチに腰かけて食べる。皮はパリパリ、しっぽの先までぎっしり詰まったあんがホクホクしてうまい。ひよ子饅頭や鳩サブレなどの生き物系のお菓子は頭から食べるとかわいそうでおしりから食べるのだが、たい焼きはなぜか頭からいっちゃう。ようやく人心地が付いたところで、昨日読み終えてカバンに入れたままだったハン・ガン『すべての、白いものたちの』(河出書房新社)のいいところをパラパラ反芻しながら帰る。白いものがちらついためちゃくちゃ寒い日にこの本を読んでいたことは忘れないだろうなと思った。原研哉『白百』(中央公論新社)と並べたい。スーパーで食料を買い帰宅後、録画していた村山由佳のネコメンタリーを見つつ夕食。来週の「岸政彦とおはぎ」が楽しみだ。

トゥラッタッタ

土曜日は仕事、昨日は友人と会った。今日はもう何があっても家から出んぞ。
今期の朝ドラを見始めて5か月近くたつのに未だに主題歌の「もらい泣き」と「あなたとラッタッタ」ぐらいしか聞き取れない。日本語がわからない人には、日本語はどのような音の響きで聞こえるのだろうというのが謎で、でも自分は意味がわかっちゃうから日本語がわからない人の耳になることができない。この歌を聴いているとその耳を体験できるので、字幕表示にすれば一発で歌詞はわかるのだろうが、あえてそうしない。わからなさを楽しんでいる。一度自転車に乗れたら、乗れないときには戻れない。
窓の外は鉛色の空。時折、雪がちらつく。こたつにもぐって、『ある男』(文藝春秋)を読んだ。平野啓一郎にはちょっと苦手意識があるのだけど、面白かった。あと佐伯一麦『麦の日記帖』(プレスアート)も。冷凍うどんで具だくさんの鍋焼きうどんを作る。ここのところ何かに追いまくられているような毎日だったから、あたたかい部屋で、本を読んで、食べたいものを食べて、ゴロゴロして幸福な一日だな、と思った。

幸福は抵抗をやめた降伏の甘い敗北抜かれたる牙  九螺ささら(『神様の住所』より)

何に降伏したのかはわからないのだけれども、降伏感はいつも感じていて、だから幸福なのかもしれないね。

立春

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               キム・ジヨン氏は私だ

 

先週後半にインフルエンザの同僚たちが復帰してきてようやく一息ついた。でも、今年のインフルは郵便配達みたいに二度ベルを鳴らすことがあるらしいが。土曜日の仕事中にボスから呼ばれ、「YOU、月曜日休んじゃいなよ」「え、マジいいんすか!」となり、今日は休み。疲労のピークだったので、恵みの月曜日の休日。晴れ。春の気配がじわじわ空気に混じってきているのを感じる。

昨日は、豆まきをし、恵方巻きを食べた。近頃は恵方巻き警察も笛を吹きながらすっ飛んでくるようになったが、丸かぶるの、単純においしいし楽しいから好きだ。今朝も昨夜の残りを朝ドラを見ながらもぐもぐ食べた。萬平さんと福ちゃん、どちらがおいしそうに麺をすするか、演技対決をしているようで可笑しい。

平日休みは久しぶりなので、昼頃家を出て、銀行で用を済ませ、郵便局でスイーツ切手を買い、年賀はがきの当選切手シート(2枚)をもらう。ランチタイムの波が去った店でカレーのランチ。その後、買物、本屋を回遊し疲れたので喫茶店でチーズケーキとコーヒー休憩。まったく時間を気にせず本を読んでいて、気付いたら日が傾いていた。帰り道はさすがにまだ風が冷たい。

チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)、チョン・セラン『フィフティ・ピープル』(亜紀書房)、吉田戦車『ごめん買っちゃった マンガ家の物欲』(光文社)を読んだ。数年前に日本翻訳大賞を受賞したパク・ミンギュの『カステラ』を読んでから韓国文学がぐんと身近になった。『フィフティ・ピープル』なんて50人余りもの登場人物を把握できるのかいなと腰が引けていたが、日本版に付けられたポップなイラストに助けられた。

赤い光

今年のインフルエンザはなんだかいつもとは勢いが違うようで、同僚が次々に倒れ、常に人手不足の状態で仕事をまわさなくてはならず、毎日残業地獄で疲労困憊。綱渡りの長い長い一週間が終わり、やっと明日休みだ、やったー!とアメリカの学園ドラマの卒業式で一斉に帽子を高く放り投げる人のような気分で退勤。エアハットトス。ほんと早く隠居したい。朝から口にしたのはキットカット一片だけだったので、あったかい味噌汁の付いた定食的なものを食べたくなり、鶏と野菜の黒酢あん定食を頼む。黒酢の酸味が疲れた体に沁みておいしい。明日外に出なくていいようにスーパーに寄ると、体が欲しているのかアイスやらチョコやら大福やらやたら甘い物を私の手が勝手にどさどさカゴに入れてしまった。帰路、冷たい北風に打たれながらしばらくボーッとビルのてっぺんで点滅する赤い光を見ていた。

読んだ本、千早茜『わるい食べもの』(集英社)、村田沙耶香『私が食べた本』(朝日新聞出版)、あと年末に読んだ『不意撃ち』が面白かった(特に「月も隈なきは」が好き)ので、同じ著者の『父・断章』(新潮社)を。