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ヨムヨムエブリデイ

未来散歩練習

空と海と文庫本

夏休みが、あっという間に終わり、またいつもの労働の日々が始まった。夏休みのお伴は、杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』と川端康成『みずうみ』の文庫2冊だった。『世界でいちばん透きとおった物語』は、絶対に予測不能な衝撃のラスト、ネタバレ厳禁!なんて言われると、どんだけ衝撃なのか気になって確かめてみたくなるじゃないですか。で、本当に透きとおってたし、非常に手間がかかってるなと思った。『みずうみ』は、以前読んだ小川洋子×佐伯一麦川端康成の話をしようじゃないか』のなかで、佐伯一麦が川端のベスト1と言ってたのでこの機会に再読。

休み明けから、通勤、昼休み、寝る前に少しずつ楽しみに読んでいたパク・ソルメ『未来散歩練習』(斎藤真理子訳、白水社)が終わってしまった。終わったけど、まったく終わった気がしない。また最初から読んで、終わらない。読みはじめは手ごわいというか、なかなか入っていけなかったが、3篇目ぐらいからぐんぐん引き込まれた。読めてよかった。語り手の「私」が『チボー家の人々』を読む日々が、高野文子の『黄色い本』と重なった。

─── 何かやりたいこと、ないですか。
─── そうね、ただコーヒー飲んで本を読んで、散歩できればそれでいいのよ。(p.203)