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ヨムヨムエブリデイ

夏がとまらない

先週から読み継いできた、島田マゾ彦の自伝的小説『時々、慈父になる。』(集英社)を読んでしまう。3年ぐらい前に面白く読んだ『君が異端だった頃』の続編。前作は二人称の「君」が使われていたが、今回の語り手は「私」。子どもが生まれるところから始まり、子育て中心に話が進んでいく。子どもに興味がないので読む前はどうかなと思っていたが、文壇事情や旅の話なども盛り込まれ、島田節に乗せられて最後までスルスル読まされてしまった。読後、ミーハー心がくすぐられ、息子の彌六(ミロク)さんのInstagramをチェックしたり、作中にでてくる建築家の竹山聖設計による島田邸(個性的!)が気になり、島田雅彦『衣食足りて、住にかまける』を図書館から借りてきたりした。2004年に刊行された品切れ本もすぐに読めるのだから、図書館は本当にありがたい。『時々、慈父になる。』の装幀は前作と同じ水戸部功。なんか表紙にぎっしり文字だけの本はたいてい水戸部印。王谷晶さんの新刊もそうだった。

寒い時期は一駅か二駅ぶらぶら歩いて行こうという気になっていたのだが、ここまで灼熱地獄だと「ぶらぶら」といったお気楽というか余白みたいな時間がまったくなくなってしまう。途中のベンチで本を読んだりとか。早く日陰に入りたい、エアコンの効いた部屋で涼みたい、冷たいものをガブガブ飲みたい食べたい、シャワー浴びたい、とにかく早く暑さから逃れることばかり考えている。ついこの間までしていた「ぶらぶら」する感覚がもう懐かしい。