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ヨムヨムエブリデイ

とりあえず目次を

日曜日。友人が遊びにきたので、ランチを食べて、買物に付き合い、お茶しながらだらだら喋っていたら日が暮れた。暑くてどこに行っても人が多く帰りはくたくただったが、同業者の友人と仕事の愚痴(理不尽なことが多すぎる!)を吐き出しあったので、気分はスッキリしていた。夜は軽めに、冷凍うどんを釜玉にして、残っていたてんぷらをのっけて済ませる。

キム・ホンビのエッセイ集『多情所感 やさしさが置き去りにされた時代に』(小山内園子訳、白水社)を読んだ。タイトルと表紙のふわっふわした感じから、うーんどうなんでしょうと思っていたが、これがとてもよかった。春に読んだクォン・ナミ『ひとりだから楽しい仕事』( 藤田麗子訳、平凡社)も面白かった。

岩波文庫に『中上健次短篇集』が入っていて、こういう選集が出たときは何はともあれ目次を開き、どの作品が選ばれているかチェックする。「隆男と美津子」「十九歳の地図」「眠りの日々」「修験」「穢土」「蛇淫」「楽土」「ラプラタ綺譚」「かげろう」「重力の都」の10篇。家にある文庫でほとんど読めそうだなあと思いながらそーっと棚に戻したりする。

『柚木麻子と読む 林芙美子』(中公文庫)のときは、目次を開くと、「母娘」「悪闘」「寿司」「フローベルの恋」「鳩」「浮き沈み」「市立女学校」「暗い花」「ボナアル黄昏」「運命」「退屈な霜」「椰子の実」が並んでいて、自分が林芙美子の有名なやつしか読んでいないのもあるけれど、ほぼ知らない短篇ばかりだ。柚木さんが「はじめに」に「今回は編者として、林芙美子があまり気に入っていなそうな作品をあえてチョイスしてみた」と書いている。「『いやだ、こんなの読まないでよ!もっといいのがあるから!』という芙美子の悲鳴が聞こえてきそうだが、いや、それこそがあなたの最大の良さなんです、と私は全力で言い返したいと思っているのである」
これは面白そうだなあと、『柚木麻子と読む 林芙美子』を手に、レジへ直行した。