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ヨムヨムエブリデイ

すいかの匂い

日曜日。盆明けの忙しさをなんとか乗り切ってようやく休日。昨日職場でもらってきた白いアミアミに包まれた立派な桃を冷蔵庫に入れ、朝食に食べようと楽しみにしていた。ここでウィリアム・カーロス・ウィリアムズである。君が冷蔵庫に冷やしてあったプラムを食べちゃった、ごめんね甘くて美味しかったよというあの詩が頭をよぎり、イラッとする。思い出しイライラ。何がごめんねだ。ただの迷惑なかまってちゃんじゃないか。「妻にちょっかいを出すかわいい僕」に酔ってるだけ。こういう人は、妻のことが好きなんじゃなくて、都会的でスマートで、しかもお茶目な僕のことがいちばん好き。こんな人が家にいなくてよかったわーとしみじみ思いながら、(自分のために)冷やしておいた桃を冷蔵庫から取り出す。ちょうど食べごろで指で皮がスルスル剥ける。それはそれは甘くて冷たくて美味しかったよ。

趣味で家庭菜園をしている友人から、そろそろ夏野菜が終わるので取りにこない?と誘われ、行く行くと二つ返事で出かける。たこ焼きとハーゲンダッツと飲み物を買って行き、つまみながら一時間ほどおしゃべりして、トマト、ナス、ピーマン、ゴーヤ、新生児の頭ほどの小玉スイカまでもらい帰る。夕飯は麻婆茄子とゴーヤチャンプルー。ごはんが進みすぎてやばかった。食後に小玉スイカを半分に切ってスプーンですくって食べる。窓の外から虫の声。あんなに暑かった夏もいつの間にか盛りをすぎ、空気や光の色に秋の気配が。

井上荒野『生皮 あるセクシュアルハラスメントの光景』(朝日新聞出版)、柚木麻子『ついでにジェントルメン』(文藝春秋)を読んだ。