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ヨムヨムエブリデイ

空の怪物アグイー

日曜。ひさびさの休日。年末年始に向けてどんどん忙しさが加速してゆく。エンタメ小説が続いたので、このところ小川洋子のエッセイ集『遠慮深いうたた寝』(河出書房新社)を短い昼休みや寝る前にちびちび読むのを楽しみにしていた。小川洋子さんは、最後の一文をビシッと決める人だな。その前の『そこに工場があるかぎり』を読んだときもそう感じた。いや、誰のエッセイも最後はカチッと締めるものだし、締めないと終わらないのだけれども、堀江敏幸氏と同様、最後の一文のキメ度が高いように思う。

買い物帰り、書店に寄り、大江健三郎『空の怪物アグイー』(新潮文庫)を買う。前に『A子さんの恋人』にでてきたときに、読み直そうと思いながらそのままになっていたところ、最近また近藤聡乃さんがこの本について書いていたので、やっと買った。『空の怪物アグイー』を手に取るのは学生のとき以来で、なんかわくわくしている。でも昔『キルプの軍団』が大好きだったのだが、岩波文庫に入った際読み返したら、え、ラストこんな話だったっけ?小説の語り手の「僕」が高校生だったので、単純に当時の自分にわかりやすかっただけなのかもと思った。まあそういうのも再読する楽しみだけれど。今月ちくま文庫から刊行された、伊坂幸太郎が究極の短編だけを集めたというアンソロジー2冊のうちのオーシャンラズベリー篇のほうに、大江健三郎の「人間の羊」が収められている。あのバスの話か。

それで、図書館から、尾崎真理子『大江健三郎全小説全解説』(講談社)を借りてきた。昨年刊行されたときは通り過ぎるだけだったのに、読む時は向こうからぐいぐいやってくるものだ。もう一冊は東山彰良のエッセイ集『越境(ユエジン)』(ホーム社)。このあいだの「ネコメンタリー」を見てちょっと興味がわいて。小説は何冊か読んだが、気になるときは何はともあれエッセイ集を読め!だ。