y o m u : n e l

ヨムヨムエブリデイ

小鳥

こどもの日。カレンダー通りの4連休。冬用の寝具の入れ替えや、読書、見逃しドラマや映画などであっという間に終わる。隠居したらこんな日々が続くのかと思うと楽しみで仕方がない。

梨木香歩『炉辺の風おと』を読んでいたら、「誰の手も時間も取らず、一人だけで満ち足りてきげんよくしていられるというのは、実は最も尊い才能の一つではなかろうかと思っている」(p.219)とあった。幼少の頃から一人できげんよく過ごすベテランだった自分は、それが一般的だと思っていたのだが、コロナで少数派であることを知った。
だって、仕事でもプライベートでも、「俺を、ボクを、あたしをきげんよくさせてくれよ」という人が周りにうじゃうじゃいて、いやはやすごいですねーとその都度褒め称え、持ち上げ、顔色をうかがい、それを繰り返していると、自分のきげんがすり減り、ぺしゃんこになってしまうの大変じゃないですか。あと、森博嗣のエッセイにはイラッとさせられることが多いのだけれど、『ツベルクリンムーチョ』のソーシャル・ディスタンスについての記述には思わず首肯した。

エコバッグに財布と読みさしの本を入れて買物に行き、よさげなベンチでもあればそこでしばらく本を読み、時間を気にせず書店やブックオフを覗いて帰る。休日の楽しみ。小山田浩子『小島』(新潮社)を買う。豊崎さんが、小山田浩子は日本文学界の「いきものがかり」とうまいことを言っているが、この本のことをずっと『小鳥』と思い込んでいた。ええと、ことり、ことり、『小鳥』ゲット!と喜び勇んで帰り、初出一覧を開くと、群像、文學界、文藝、早稲田文学、たべるのがおそいなど多岐にわたっているのに新潮社から刊行ということは、相当新潮社から愛されている作家なんだな、新潮新人賞出身だからな、装幀もいつも気合が入ってるしな、そしてじっくり表紙を見て、やっと『小島』に気づく。ことりじゃなくてこじま!衝撃!