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ヨムヨムエブリデイ

軽バン

五月最後の日曜日。知人には明日から出勤という人が多い。自分はずっと変わりなく。マスクをして人と近付きすぎないようにしていると、私は丸腰ですよ安心してくださいと常にホールドアップしているような気持ちになる。
昨日の「サワコの朝」は、いつものスタジオ収録に戻っていたが、阿川佐和子とゲストの椅子がめっちゃ離れてた。総集編の段階はもう終わったんだなと思った。

頼んでもいないのに、無理やり本をぐいぐい押しつけてくる人が苦手、というかとても困惑してしまう。職場の休憩時間などに本を読んでいると必ず、何を読んでるの?と訊かれ、ああまただとうんざりしつつ、でも訊かれたからには無視するわけにもいかず答えると、「ふーん」とか「へえー」で終わる。そこから有意義な方向に話が展開することはほとんどない。以前、上司から尋ねられた時、たまたま横山秀夫の『64』を読んでいただけなのに「そういうの読むんだ、僕と同じ」とたいそう喜ばれ、それから横山秀夫のこれは読んだかだの、同じ系統の警察小説をこれ面白かったから読んでみてだの攻撃にあい(頼んでないよ!)閉口した。年上の男性にその傾向が強いようである。性別や年齢で一括りにするのは危険だけど、経験的にそうなので仕方がない。俺は何でも知っている俺が色々教えてやるというのが好きなのだろう。そんなことが続いてから、職場では、人に見つからないように本を読んでいる。

無理やり押しつけられるのは嫌だけれど、新聞や雑誌の書評や書店の選書コーナーやネットのオススメ本なんかを見るのは結構好きだ。その中から自分の気になるのを読めばいい。読んで気に入ることもあれば気に入らないこともあり、気に入れば、そこからまた芋づる式に広がってゆくのが楽しい。上司からしつこく感想を訊かれることもない。

今は、西崎憲『未知の鳥類がやってくるまで』(筑摩書房)を読んでいる。これはちょっと前に絲山秋子が、「軽バンで寝っ転がって読んでいる。とてもいい」と「軽バンで寝っ転がって読んでいる」写真付きで紹介していた本。本越しのリアウィンドウから見える空と緑につられて無性に読みたくなってしまった。向こうからぐいぐい来るより、軽バンのほうにずっとそそられる。