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ヨムヨムエブリデイ

快晴

日曜日。霧が晴れるように一日一日少しずつめまいが治まってくる間、仕事に行くのがしんどかった。待ち焦がれた休日。朝起きると、雲ひとつない冬晴れの空。先週と全く同じ空に見える。でももう世界はぐるんぐるん回っていない。静止した世界はなんて素晴らしいんだろう。コーヒーとトーストを傍らに、センター試験問題の原民喜「翳」を読む。
首から肩にかけてカッチカチに凝っているのでひさびさにスーパー銭湯に行くことにする。せっかく来たからには、すべての種類の風呂に入ってみる。湯の中で思いきり手足を伸ばせる気持ちよさ。体がふにゃふにゃになり、指先がシワシワになる。風呂上がりに飲む冷えた炭酸のうまさよ
体を冷ましながら、滝口悠生『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』を読む。誰かを好きになったときは、同じ空間にいたら自然と目で追ってしまうとか、占いの結果が自分のの次に気になるとかでわかるのだけど、読むのがもったいないと思ったら、その本のことが好きだということ。『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』は年末に買ったのだが、もったいなくてなかなか読み始められなかった。すぐにも読みたいのだけど、もったいなくて読めない。読み始めたら読み始めたで、終わるのがもったいなくてわざとゆっくり読む。じゃあなんで今読んでいるのかというと、体調が悪かった先週を乗りきったので、もう読んじゃってもいいんじゃない?と思ったから。自分への快復祝いみたいなもの。もったいないわーもったいないわーと言いつつ、残りのページが少なくなっていくのを惜しみつつ読む幸福感、たまらない。いつまでも終わらないでほしい。