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ヨムヨムエブリデイ

遊び半分

冬晴れが続く。4日が仕事始め。空いてる通勤電車、嬉しいような悲しいような感じ。実家での正月は起きている間はつねに口の中に何かが入っている状態だったのが、昨日今日は朝から退勤するまで口にしたのはお土産の「萩の月」一個のみ。その反動で帰りにラーメンと餃子のセットをガツガツ食べる。入浴後、いつもより時間をかけていれたコーヒーをすすりつつ、やっぱり自分の家が一番落ち着くわーと思う。
年頭だからといって目標や抱負などは特にないが、いつもなんとなく心に留めていることがふたつある。ひとつは小沼丹の「銀色の鈴」から。大好きな大寺さんもの。大学生と高校生の娘をのこし大寺さんの奥さんが急死し、お手伝いさんを雇わずに娘たちが家事をすることになる。

大寺さんは娘がしょぼしょぼしているのは面白くない。しょぼしょぼ、淋しそうな恰好で食事の用意をされたら遣切れないと思う。或は、それが義務のようにやられたら適わないと思う。遊び半分みたいに片附けてくれたらいいと思っているのである。

食事の用意をされたらとか、義務のようにやられたらとか受け身なのがちょっと引っかかり、じゃあ大寺さん自身は食事の用意や家事はしないんだな?全部娘にやらせるんだな?と絡みたくもなるが、「遊び半分みたいに片付けてくれたらいい」というところが好きだ。
もうひとつは、津村記久子「職場の作法」(『とにかくうちに帰ります』所収)の田上さんの仕事への心構えから。

不誠実さには適度な不誠実さで応えてもいいけれど、誠実さに対しては全力を尽くすこと。

そんな生易しいもんじゃないぜと言われるかもしれないが、仕事でも毎日の生活でも遊び半分みたいな気分をいつもベースにもっていたい。ただし誠実さに対しては全力を尽くすって感じで今年もやっていこうと思っています。穏やかな一年でありますように。
昨年の読み納めは辻原登『不意撃ち』(河出書房新社)。読み初めは長嶋有『私に付け足されるもの』(徳間書店)。お正月からちょびっとずつ楽しんで読んでたのが終わってしまった。いいスタート。