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ヨムヨムエブリデイ

なに食ってんだ

前回から10日間のあいだに、桜はすっかり葉桜になり、雨に濡れた葉っぱの緑がつやつやして鮮やかだ。「コスパ最強!春の着回しコーデ」もあまり着回さないうちにすでに暑くなってしまった。今週は連休前で史上最高の地獄の忙しさ。へろへろの帰りにパックのお寿司とコンビニでデザートを買い込み、「科捜研の女」と「緊急取調室」をぼんやり見ながら食べる。曜日をドラマで認識する日々で、もし何かの事件に巻き込まれて事情聴取されることになったら、「あれはたしか、科捜研の女のあった日でしたから、木曜日の夜のことです」と答えられる。

集中力がない時でも読めそうかなと『佐野洋子の「なに食ってんだ」』(オフィス・ジロチョー編 NHK出版)を読んだ。佐野洋子の著作から食べることに関するエピソードを厳選、抜粋し、写真や絵とともにまとめたもので、二番煎じぽくてこれはもう読まなくてもいっかと思っていたが、なんとなく読んでみたらすごくよかった。ほんの数行だけ抜粋された文章にも佐野洋子汁がしみ込んでいて、その野蛮さ、むきだし感とベースにある繊細さがかっこいい。ひさびさに読んだ佐野洋子の文章に参ってしまった。食わず嫌いしないで何でも読んでみるものだ。

平成を振り返っておきましょう的特集ばかり目につくけれど、リニューアルした「文藝」夏季号をぱらぱらしていたら、7名の人が平成の3冊を選ぶ「平成文芸何読んだ?」というミニ特集があった。こういうちまちましたコーナー大好物。こだまさんが高校時代に影響を受けた3冊として『わしらは怪しい探検隊』『もものかんづめ』『父の詫び状』を挙げていて、(昭和の本も入っているが)ああこのチョイス、なんかわかりすぎるくらいわかるーと思った。