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ヨムヨムエブリデイ

痛い本

休み。知り合いと昼ごはんを食べて解散したあと、電車に乗らずぶらぶら歩いて帰る。風がおそろしく冷たいが歩いていると身体がぽかぽかしてきてどこまでも歩けそうな気がしてくる。ポケットに入れていたアニー・エルノー『嫉妬/事件』(ハヤカワepi文庫)の「事件」を、ココア休憩しながら読み終える。ま、股が痛い。股も痛いし、心も痛い。昨年の痛い本・オブ・ザ・イヤーは、花村萬月の『ハイドロサルファイト・コンク』だったけれども、早くも今年の、股が痛い本・オブ・ザ・イヤーが出てきてしまった。

帰ってテレビをつけると「バナナマンのせっかくグルメ」をやっていて、見るとはなしに見ていると、こんな道行く人におすすめの店や料理を訊いて、自らお店に撮影交渉して食べに行くのなんて、自分には絶対無理だなと思う。あと、「鶴瓶の家族に乾杯」で、はじめは鶴瓶さんのうしろにくっついてるだけでいいけれど、途中から一人にされて、やはり道行く人に声をかけ、家にまで上がり込んで世間話をするとかも死んでも無理だ。もう一つ、三山ひろしのけん玉ギネスチャレンジに出るのも無理。自分が失敗して全部チャラになる未来しか想像できない。これが今思いつく私の3大ムリなこと。

夜、小砂川チト『家庭用安心坑夫』(講談社)を読み始める。この前の前の芥川賞候補作。手作り風の帯に「選考委員小川洋子さん激推し‼」とあり、あの体温の低そうな静かな佇まいの小川洋子さんに「激」とか「推し‼」とか全然似合わなすぎてインパクトがあった。