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ヨムヨムエブリデイ

ステイ(区切って)ホーム

f:id:yomunel:20200502224218j:plain:leftいかにもザ・五月の青空だなと思いながら出勤したら、春の陽気を通り越してすでに暑かった。今日までがんばったら明日から4連休だ。
昼休み、吉行淳之介『目玉』(新潮文庫)を読む。差入れの栗饅頭付き。吉行淳之介の小説は男女の機微について書かれたものよりも、この『目玉』が一番好きで時々読み返したくなる。シンプルなカバーは和田誠

コロナ前、コロナ後(まだ後じゃないけど)も毎日変わらず同じ時間に通勤し、同じリズムで生活しているので、自分の中の何かが変わったという実感は、あまりない。行き交う人々の数が減り、店が閉まり、レジやカウンターはビニールで遮断された。皆マスクをして、お互いに近づかない。前のように、ぎゃー、マジか、近い近い近い近いと困惑することがなくなったのはいいことかもしれない。人が少ない土曜の夜の帰り道、マーク・ストランドの詩を思い浮かべながら歩いた。なんとなーく、漠然と取り残された感じがしている。

物事を崩さぬために   マーク・ストランド(村上春樹訳)

野原の中で
僕のぶんだけ
野原が欠けている。
いつだって
そうなんだ。
どこにいても
僕はその欠けた部分。

歩いていると
僕は空気を分かつのだけれど
いつも決まって
空気がさっと動いて
僕がそれまでいた空間を
塞いでいく。

僕らはみんな動くための
理由をもっているけど
僕が動くのは
物事を崩さぬため。

さあさあ、明日から、ステイ(区切って)ホーム三昧を楽しみますよ。