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ヨムヨムエブリデイ

余分なもの

湿気のモイスチャー効果で、部屋のあらゆるものがしっとりと潤っている。クイックルワイパーのすべりが悪い。布団を上から押すと高野豆腐のように水分がじゅわーっとしみ出てくる(イメージです)。

先週、西東三鬼『神戸・続神戸』(新潮文庫)が出ていたので買ったのだが、この新潮文庫版は非常にうれしいものだった。というのは、講談社文芸文庫版の『神戸・続神戸・俳愚伝』は持っているのだけれども、以前からこの中の「俳愚伝」は(自分には)余分だなと思っていたから。いや余分なんていったら失礼な話で「俳愚伝」も良いのだが、「神戸」「続神戸」だけで一冊にまとまっていたら個人的にパーフェクトなんだけどなーとずっと思っていた。そこに500円からおつりがくるプライスで新潮文庫がドンピシャときて喜んだ。
余分ついでに、たとえば絲山秋子沖で待つ』は、文庫化の際に追加された石原慎太郎を茶化している「みなみのしまのぶんたろう」があまり好みではないため、単行本のほうを好んでいる。たくさん収録すればお得感があり喜ぶかと言われれば、そうでもない。人それぞれの好みで好きなバージョンもちがうのだと思う。『神戸・続神戸・俳愚伝』のほうがいい、「俳愚伝」最高!という人も多いのかもしれない。

藤井一至『土 地球最後のナゾ―100億人を養う土壌を求めて』(光文社新書)、赤松利市『らんちう』(双葉社)、津原泰水『11 eleven』(河出文庫)を読んだ。