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ヨムヨムエブリデイ

合体


ポケットの中の『ポケットの中のレワニワ』
台風が近づいていて雨の予報だったので、期日前投票を済ませ、食料を買い込み、一日こもっていた。朝、玉子を茹でて、おでんを仕込む。今年初おでん。食べて、寝て、読んでいると日が暮れた。雨だんだん強くなる。
先週、文庫3冊で200円の冊数合わせで伊井直行『ポケットの中のレワニワ』(講談社文庫)を買った。これは、単行本が出てすぐに読んだ記憶があるのだけれども、ずいぶん前のことなので内容をあまり覚えておらず、それでもいい感触だけは残っていて、今度は文庫で読んでみようかなと手に取った。単行本は上下巻に分かれていたのが、文庫では1冊にすっきりまとまっているのが嬉しい。大きい単行本2冊を合体させてポケットに入るくらいにしゅるしゅるっとコンパクトに畳みましたという感じが文庫好きにはたまらない。
文庫化される際、1巻だったものが上下巻に分かれたり、『1Q84』のように単行本は3巻で文庫版は6巻になったり、文庫になると巻数が増えるのはよくあるパターンだ。京極夏彦の文庫などを見ると、かなり分厚くても1巻にまとめようと思えばできないことはないと思うのだが、分けたほうが売れやすいとかあるのだろうか。だからこの『レワニワ』みたいに逆パターンの文庫本を見ると嬉しくなってしまう。カズオ・イシグロの『充たされざる者』 (ハヤカワepi文庫)も上下合体本だが、あの分厚さが内容とマッチして妙に嬉しかった覚えがある。ポケットには入れづらいけど。
雨の音を聞きながら『レワニワ』を読み終える。伊井直行は前から好きで、著書の半分か3分の2ぐらいは読んでいるのではないだろうか。近頃は古本屋でもあまり見かけない気がする。ブックオフで『悲しみの航海』の文庫を見つけたときはうれしかった。図書館に行けば古いものもすぐに読めるし、アマゾンでも安く買えるようだが、とくに急いで読みたいわけでもなく、古本屋で見つけて、キャッと飛び上がる楽しみを取っておきたいと思う。ガツガツしていないゆるやかな期待感。
選挙速報は15分ぐらい見たところでやめた。明日の朝は台風大丈夫かな。