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ヨムヨムエブリデイ

高架線

大気の状態やらいろいろが不安定。今日もくたびれた。食材を買い、本屋に寄ると、滝口悠生『高架線』(講談社)が出てる!迷わず買った。サヌキナオヤのカバー装画がすごくいい。島田雅彦の『カタストロフ・マニア』や、坂口恭平の『しみ』や、ちくま文庫ブコウスキーのシリーズなどのサヌキナオヤの装画はシャレていて目をひく。本屋特集のPOPEYEの表紙もよかった。帰路、買ったばかりの本を袋から出したり入れたり撫でまわしたりしていると疲れがとけてゆく。

柴崎友香の小説に「興味のあるものって、区別がつくようになってくるでしょう」というせりふがあるのだけど、年を取ってくると好奇心が摩耗して、興味をひかれるものはそうそう現れてくれなくなる。そんななかで最近めっちゃ区別がつくようになったのが滝口悠生さん。日記を見ると先月上旬に初めて『茄子の輝き』を読み、滝口悠生キタ━(゚∀゚)━!と興奮している。なにしろ芥川賞作家だし、それまでも一応認識だけはしていたが、あの、猪熊弦一郎の画が表紙の滝口ナンチャラって人でしょ?程度で、ナンチャラの読み方もわからず、かといって検索して知りたいほどの興味もなかった。それがあまり期待もせずに手にした『茄子の輝き』でキタ━(゚∀゚)━!となり、この1ヶ月半ほどの間に、勢いで既刊本の4冊すべて読んでしまい、スタンダードブックストア心斎橋店の滝口悠生の本棚フェアを(ネット経由ではあるが)チェックし、ブックデザイナーの奥さんと一緒に出演したトーク番組を見て、もう増田明美かっていうくらい滝口悠生まわりに詳しくなってしまった。もはやナンチャラではない。そして発売された新刊。もったいなくて読めない。

何もわからなかったものが、だんだん区別がつくようになってくる感覚はとてもいいものだと思う。脳がごりごり働いているのを感じる。どんどん区別をつけていきたい。しかし、急速に興味を失い、区別がついていたものが区別がつかなくなるもの(今年のプロ野球)もあるので、まあトータルではとんとんといったところ。