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ヨムヨムエブリデイ

小道具の本

本の雑誌」2月号の北村薫の連載「ユーカリの木の蔭で」は、映画『永い言い訳』で、深津絵里の遺品にあった文庫本が何だったかをつきとめる話だった。文庫本のすみっこに「〜行列車」と小さくあるのを目にした北村さんは、最後の字幕でレイ・ブラッドベリ『バビロン行きの夜行列車』(ハルキ文庫)であることを確認し、彼女が本屋でその本をどのように選び、どこまで読んだのだろうと想像する。
この気持ちわかるーと思った。映画やドラマに小道具として登場する本が気になって気になって、肝心のストーリーが全然頭に入ってこない。動体視力を総動員して画面を凝視してもわからないことが多いが、逃げ恥の平匡さんの本棚の本をリストアップしてくれる人が現れたり、待っていたら、マメな誰かがどうにかしてくれる。町山智浩『映画と本の意外な関係!』(インターナショナル新書)も読んだ。
『ママの遺したラヴソング』でスカーレット・ヨハンソンが読んでいた母の形見のマッカラーズ『心は孤独な狩人』はナイス!なセレクトだと思ったが、『わたしを離さないで』で綾瀬はるかが読んでいた『ノルウェイの森』とか、登場人物がいかにも読みそうな本をこれみよがしに読んでいると、ちょっと引いちゃったりする。
映画に限らず、日常生活でも、電車や喫茶店で人が読んでいる本が気になって、北村薫のように本の中のキーワードをもとに推理したり、もうどうにかして解明しないと気が済まなくなるのが困りものだ。小川洋子のエッセイ「本を読む人が好き」→(i feel-Šª“ª•M)をそうそうと頷きながら読む。
https://www.instagram.com/subwaybookreview/ は好きなサイト。ちびっこから大人まで本を楽しんでいる感じが伝わってくる。日本でもこんなのがあればいいのに。もうあるのかな。