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ヨムヨムエブリデイ

シャツのボタン

少し前、東京ポッド許可局で西川美和監督が黒木華を『永い言い訳』にキャスティングした理由について、「シャツのボタンを一番上まで閉じた色っぽさ」、主人公の浮気相手役だから最初はモデルのような、華やかな美人タイプを考えていたが、実はこういう女のほうが怖いのだ、と言っていて、なるほどと思った。
というようなことを今朝、一番上のシャツのボタンをとめながら思い出したのだが、自分の場合、ボタンを一番上までとめた、ただの几帳面な人にしか見えない。また別の話だが、珍しく朝ドラを録画して見ているという同僚のK君は、子供をおんぶしている紐が女優さんたちの胸にX(エックス!)と食い込んでいるのがもうたまらないんです、だそうで、ボタンやら紐やらが、いつどのように効果を発揮するのか油断がならないものだなと思う。

目黒考二の何もない日々』(百年書房)は、古希を記念して制作した私家版の限定発売とのことだったので、先日あわてて買ったのだけれど、SOLD OUTした後も、特別蔵出しして再販売の繰り返しで、本当は限定なんかじゃないんじゃないのと思ったりもするが、笹塚日記からの目黒さんの日記のファンだからまあ喜ばしいことである。笹塚日記と判型が同じだったらもっとよかったが。
椎名誠のホームページ「旅する文学館」に連載中の「椎名誠の仕事 聞き手目黒考二」もずっと面白く読んでいる。あれはつまらないとかズバズバ言うのがいい。先月『本人に訊く(壱)よろしく懐旧篇』が刊行された。最近は椎名誠の本をほとんど読まなくなってしまったが、この連載で気になるものをたまに読んだりする。目黒考二が雑魚釣り隊ものではベスト1で、この10年の椎名本のベストとまで推している『あやしい探検隊 済州島乱入』(角川文庫)はすぐ読んだ。