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ヨムヨムエブリデイ

ときめき

今年の日本シリーズも、ジンバブエモンテネグロと同じくらい自分にとっては遥か遠い話というか、どうでもいい感じだが、まあそのおかげでハラハラ感や息苦しさなど皆無でリラックスして楽しめる。好きなものや思い入れがあるものが少ないほうが身軽に、自由になれるのかもしれん。

夏に、こんまりの『人生がときめく片づけの魔法』『人生がときめく片づけの魔法2』『毎日がときめく片づけの魔法』をまとめて読んだ。2は1をさらに詳しく解説した応用編のようなもので、『毎日が〜』は、図解や写真入り。最初のだけ読めば十分そうだと思った。
こんまり流本の片づけ法は、「殿堂入り」「殿堂入りではないけどときめく本」を残し、「ときめき度がいまいちの本」や「いつか読む未読の本」は捨てる。「いつか読むの“いつか”は永遠にこない」「本は買った時が読むタイミング」。
昔に比べれば大胆に本を処分できるようになったけれど、「いつか読む未読の本」や「ときめき度がいまいちだけどまたいつか読み返すかもしれない本」などはそう簡単には捨てられない。例えば荒川洋治の『過去をもつ人』を読んでいると、色川武大『友は野末に 九つの短篇』やミラン・クンデラ『別れのワルツ』や吉田知子『お供え』やソルジェニーツィンイワン・デニーソヴィチの一日』や梶井基次郎城のある町にて」などを読みたくてたまらなくなるが、そう思ったときにその本が自分の本棚や積読本のなかにありすぐに読めるととても豊かな気分になる。“いつか”が来ることもある。
その流れで吉田知子『お供え』(講談社文芸文庫)を読んだ後、巻末の年譜を繰ると、

  • 一九五八年(昭和三三年)二四歳 秋、初めてオートバイ(カブ)を購入。後に、カブを乗りこなす主婦・作家として取材を受ける。
  • 一九七〇年(昭和四五年)三六歳 二月、二代目となるカブを購入。
  • 一九八四年(昭和五九年)五〇歳 三代目となるカブを購入。

そんなにカブにスポットライトを当てるか!と可笑しかった。吉田知子がカブ好きなのはわかった。
津村記久子『浮遊霊ブラジル』(文藝春秋)と『個人全集月報集 武田百合子全作品 森茉莉全集』(講談社文芸文庫)を買う。川端康成賞受賞作の「給水塔と亀」を読みたかった。「週刊現代」のわが人生最高の10冊に長嶋有氏。帰り道、書店の袋がときめきで、ぱんっぱん。もうはち切れそう。