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ヨムヨムエブリデイ

アンソロジー

yomunel2016-09-12

また月曜日が始まった。気持ちを反映したようなどよんとした曇天。鞄の中のおにぎり弁当と本が心の支え。
津原泰水エスカルゴ兄弟』(KADOKAWA)面白かった。ナオノコトノボルさんとか、どんどんぱとか、若い頃のソフィー・マルソーとかいちいち可笑しい。伊勢うどんチキンラーメンを無性に食べたい。
福永信編のアンソロジー『小説の家』(新潮社)を気になるところからぱらぱら読んでいると、巻末に収録作家陣が好きなアンソロジー集が紹介されていた。いしいしんじ→『ちくま文学の森』(筑摩書房)、栗原裕一郎→『日本ペンクラブ編 日本名作シリーズ』(集英社文庫)のベーシックなもの、柴崎友香→『ダブル/ダブル』(白水uブックス)、古川日出男→『夜の姉妹団 とびきりの現代英米小説14篇』(朝日新聞出版)の柴田元幸系のもの、山崎ナオコーラ→『レズビアン短編小説集』(平凡社ライブラリー)、青木淳悟→『教科書でおぼえた名詩』(文春文庫)、円城塔→『新古今和歌集』など。その中で長嶋有が挙げていた『筒井康隆選・人間みな病気』(福武文庫)が本棚にあったので久しぶりで読み返してみたらなんか新鮮でよかった。

内田春菊「田中静子14歳の初恋」/谷崎潤一郎「恐怖」/大槻ケンジ「屋上」/横光利一「盲腸」/遠藤周作「役たたず」/内田百聞「掻痒記」/色川武大「したいことはできなくて」/坂口安吾「精神病覚え書」/内田春菊「今月の困ったちゃん」/葛西善蔵「奇病患者」/秋元松代「ちぐはぐな話」/筒井康隆「ポルノ惑星のサルモネラ人間」/島田雅彦「未確認尾行物体」

何も知らない頃は、純粋に収録作品を楽しんで読んでいたけど、だんだん、編者はなぜこれを選んだんだとか、自分なら何を選ぼうかとか色々考えるようになる。このテーマだったら必ずこれがくるみたいに、アンソロジー慣れもしてくるし。あと一冊のアンソロジーの中でも、必ず好きなものとそうでないものがある。
病気つながり(無理につなげなくても)で、新刊の『病短編小説集』(平凡社ライブラリー)を手に取った。

ワシントン・アーヴィング「村の誇り」/W.サマセット・モームサナトリウム」/ジャック・ロンドン「コナの保安官」/ファニー・ヴァン・デ・グリフト・スティーヴンソン「ハーフ・ホワイト」/アーサー・コナン・ドイル「第三世代」/アーネスト・ヘミングウェイ「ある新聞読者の手紙」/シャーロット・パーキンス・ギルマン「黄色い壁紙」/O.ヘンリー「脈を拝見」/アーネスト・ヘミングウェイ「清潔な、明かりのちょうどいい場所」/F.スコット・フィッツジェラルド「眠っては覚め」/ドリス・レッシング「十九号室へ」/サミュエル・ウォレン「癌 ある内科医の日記から」/ケイト・ショパン「一時間の物語」/ジョン・アップダイク「ある『ハンセン病患者』の日記から」

やっぱ「黄色い壁紙」キタ―。病名は「脈を拝見」とともに神経衰弱に分類されている。「清潔な、明かりのちょうどいい場所」ってなんの病気?と思ったら、不眠のカテゴリーに。アンソロジーはまず収録作を眺めるのが愉快。