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ヨムヨムエブリデイ

雪の日とコーヒー

アップル祭り

遅番なので朝はゆっくり。ビスケットをかじりながら、いつもより丁寧にいれたコーヒーをすする。窓の外はどんよりした曇天。雨のち雪の予報だ。いつものようにマフラーを適当風に巻いて仕上げをし、カバンに読みかけの曽我部恵一昨日・今日・明日』(ちくま文庫)と山田詠美『学問』(新潮社)をほうりこんで傘を手に家を出る。カバンからフルーティーな香りがしそう。
仕事を終えて外に出ると予報通り雨は雪へと変わっていた。胸が躍る。ドトールで簡単に食事を済ませたあとコーヒーを飲みながら『昨日・今日・明日』を読む。気持ちのよい文章だな。「雪の日とコーヒー」なんていうまさしく今だ!というタイトルのエッセイもありにやにや。
《コレクションする対象がひとつ増えるというのは、とても素敵なことだ。街を歩くのがちょっと楽しくなる。そのことによって自分が歩くことのできる街が広がるのだ。p.49》
この時間にふらふら街を歩いて行きたくなるのは本屋と決まっている。でもちょっと楽しみにしていた吉本隆明特集の『BRUTUS』やなんかを立ち読みしながらも外の雪が気になって気になってしかたがない。ソワソワ落ち着かないのだ。あきらめて家路につく。たいして積もってやしないのにさ、バッハのピアノをバックに雪原を歩く『スローターハウス5』のビリー・ピルグリムになった気分で降りしきる雪のなかを小走りに帰った(いちいち大げさな女)。明日の朝は積もっているかしら。明日は早番なのだった。