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ヨムヨムエブリデイ

年賀状、切手、占い

毎年30日が仕事納めだけど、今年は日曜日に当たるので29日まで。1日得した、といってもお得感は全くない。クリスマス前に今年最後の忘年会(焼肉)があり、年賀状も印刷し終え、あとは近況報告などを書いて投函するだけ。とりあえず最低限やるべきことは済ませのんびりしている。

年賀状を書いていると、自分にとっての相手の重要度の序列がはっきりわかる。どうでもいい人といったらアレだけど、あまり親しくない人にはコメントなしとか、今年こそ食事に行きましょう!とか上っ面だけの社交辞令的なことを適当にちゃちゃっと書いて終了。親しい人のは残しておいて、練りに練りまくったコメントを書く。だから最後に残ったのが一番大切な人ということになる。
記念切手シートでも。シートで買うとその中でも好きなデザインといまいちなのがあり、いまいちのはどうでもいい人(あまり親しくない人)用に使い、お気に入りのデザインのはとっておきの人に貼って出す。あと、占いも。そんなに信じているわけではないが朝の番組でその日の運勢をやっていると、まず自分の星座をチェックし、次にそのとき一番気になっている人のを見る。いい運勢だとよかったねーと思う。身も蓋もないけれど、まあそんな感じ。

忘年会の景品で3000円の図書カードが当たったので、ブルボン小林『ザ・マンガホニャララ 21世紀の漫画論』と長嶋有『私に付け足されるもの』を買った。合わせてジャスト3000円で(消費税分はオーバーしちゃうが)気持ちいい。忘年会の我慢賃だ。ちょうどさくらももこさんが亡くなったあとに、ブルボン小林が、次回の週刊文春の「マンガホニャララ」はあの人の追悼ですと予告していて、てっきりさくらももこ追悼がくると思って開いたら、菅井きんの追悼だったので立ち読みしながら噴いたことを覚えている。そういう「通りいっぺんでない」ところがいい。
今週読んだ本。錦見映理子『リトルガールズ』(筑摩書房)、小池昌代『幼年 水の町』(白水社)、辻原登『不意撃ち』(河出書房新社)の「渡鹿野」と「仮面」。あとどれだけ読めるかな。

カキフライ

本当にあっという間に一週間が過ぎる。先週特に記憶に残っているできごとといったら、今の職場に自分が繋ぎとめられている唯一の理由である賞与が出たことと、忘年会第二弾(ふぐ料理)と、村上レイディオと、右京さんが牛丼(紅生姜てんこ盛り)を食べていたことくらい。

明日休みを取ったので、今夜はゆったりした気分で、帰りにとんかつ屋に入り、ひれかつ定食とカキフライ定食で迷いに迷って結局半々ミックスになったやつを頼む。タルタルソースがおいしい。昔からあまり噛まずに食べる癖がありよく注意されていたのだけれど、ドラマの「孤独のグルメ」のおかげでしっかり咀嚼する習慣が身についた。五郎さんに感謝しないと。咀嚼習慣はついたが、食べながら「はふはふ!俺は今、まるで人間火力発電所だ!」とか頭の中でいちいちつぶやく習慣もついた。食べ終え、ぶらぶら書店を巡り、スーパーで買物して帰る。昼間スコンと澄んだ青空だったのが夜も続いているのか星がとてもきれいに見える。

最近読んだ本。堀江敏幸『傍らにいた人』(日本経済新聞出版社)。「現在の上総国を治めている政治家がまだ若かった頃に出演していたテレビドラマの影響か、私には、海辺で走り、叫び、竹刀を振りまわすことが青春だと思い込んでいた暗黒の少年時代がある」(p.76)←なぜ森田健作とはっきり書かんのか!相変わらずの回りくどさにすんごくイラッとしながら読んでいたのだけれど、そのイライラもまたスパイスになるっていうか、ポジティブなイライラっていうの? イヤなら読まなきゃいいものをわざわざ読んじゃうってことはそんなにイヤでもないのかも。『本を贈る』(三輪舎)は本をつくり、本を届ける仕事に携わる色々な人が書いた本。『本の雑誌おじさん三人組が行く!』の逆バージョンのよう。ツバメ出版流通の人のところが面白かった。芦沢央『火のないところに煙は』(新潮社)、工藤美代子『凡人の怪談』(中央公論新社)怖い話大好物。でも夜、背後が気になり目を閉じて髪を洗えなくなる。カーッと目を見開いてシャンプーしている。

はらぺこあおむし

今週は、死んだあとの咲姉ちゃん並みに忙しかった。そんな殺気立った雰囲気の中、月初に届いた請求書の封筒に貼られていた〈はらぺこあおむし〉の切手にちょっと和んだ。おそらく何百通もある請求書に無表情で事務的に切手を貼っているだけだろうが、その中の一通にこんなに和まされる人がいるってことを、請求書係の人に伝えたい。インフルエンザの予防接種も済ませ、着々と季節は冬へと進んでいる。その週の締めくくりとして、昨夜は、今年初、そして一番規模の大きい忘年会があった。
異動前の勤務先の懐かしい人との再会をキャッキャウフフと喜び合い、立ちはだかる説教したがる男たちと、(過去の栄光を)自慢したがる男たちと、蘊蓄を語りたがる男たちを愛想笑いでかわしながら次々と料理を平らげる。最後にデザートバイキングのコーナーができたので、ケーキ、シュークリームなど皿いっぱい取ってきて頬ばる。21時半ごろお開きになり、会場前にたむろする人々が、二次会行くぅ?えーどうするぅ?誰とぉー?とグダグダしだす前にさっさと退散した。
読みさしの寺尾紗穂『彗星の孤独』(スタンド・ブックス)を読みながら帰る。ぶらぶらしているおじさんの話、インコの話、あたたかい丼の話。本を読んでいるときは、だいたい上機嫌で、だいたいしあわせ。
伊藤比呂美『たそがれてゆく子さん』(中央公論新社)、村田沙耶香『となりの脳世界』(朝日新聞出版)を読んだ。忙しいとついエッセイ集に手が伸びる。
今日はもうこたつに入って、ハシビロコウのように動かんぞ!と思っている日曜日の遅い朝。

ご長寿連載

ニシムクサムライでもう月末。昼休みが取れないかとあきらめていたら、時間が下がってから交代で入ることに。たまたま一緒になったK君と晴天の下、うどん屋まで歩く。K君が余ったうどん札をくれて、自分のと合わせたらうどんが無料になった。その分トッピングを奮発して満腹になり、午後から苦しい。残業のち退勤。昼が遅かったのであまりお腹が空かず、ぶらぶら書店を巡る。新刊がザクザク出ていて楽しい。

津村記久子『この世にたやすい仕事はない』、日本経済新聞社から新潮文庫入り。これで津村さんの新潮文庫の背表紙にも色が付いた。表紙のタイトルと著者名の色に合わせた背表紙になっていて(逆かもしれないが)、あ、いい感じの佇まいだと思った。津村さんが「波」に連載中の「やりなおし世界文学」が12月号で最終回で、次回から「webでも考える人」に移るとのこと。休刊になった毎日新聞社の「本の時間」から「波」に引っ越して、さらに「webでも考える人」に移るってすごいご長寿連載だ。好きな連載なのでwebでも続きが読めるようでよかった。

ここのところ読んだ本。
村田沙耶香『地球星人』(新潮社)田舎のおばあちゃんの家に帰省するという『西の魔女が死んだ』的なオープニングからラストがこんなことになるなんて!「常識に守られると、人は誰かを裁くようになる」(p.180) 

本谷有希子『静かに、ねぇ、静かに』(講談社最初の「本当の旅」の彼らを笑うことは、こんなブログを書いている自分を笑うことと同じだと思う。残酷で、オコナーの短編の読後感に似た後味の悪さ。キャンピングカーが縁石(本当に縁石?)にゴトッと乗り上げるところなんか震える。

辛島デイヴィッド『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』(みすず書房村上春樹が世界のハルキ・ムラカミになるまでの舞台裏。何でもかんでもカーヴァーのタイトルを捩ればいいかと思ってーと読み始めたら面白くて止まらなくなった。長編はシドニー・シェルダン超訳みたいな感じで英訳されていたのかな。『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』の「僕」「私」で区別される一人称が英語には「I」しかないため、過去形と現在形で書き分ける、など興味深く読む。

心配の種

何かおいしいものを食べてから、「ボヘミアン・ラプソディ」を見ない?と誘われて、出かける。気持ちのよい晴天なので、外で食べようかとなり、デパ地下で弁当などを買い、紅葉や黄葉を眺めながら食べる。葉っぱを透かして赤や黄の光が届く。その後ボヘラプへ。Queenには特に思い入れはない(どんどんぱといったら津原泰水の『エスカルゴ兄弟』や花巻さんが浮かぶ)がそれでも面白く見た。外で冷え切ったカチカチの体に映画館のクッションの効いた椅子と熱いコーヒーがありがたい。夜は、満月に花火。

いろいろ録画しっぱなしでたまっていたのを少しづつ見てる。坂元裕二の「プロフェッショナル仕事の流儀」は、後ろの壁一面にある本棚が気になって気になって、番組の内容が全然頭に入ってこない。次は中身に集中するよ!と見始めるも、いつのまにか本棚の本を凝視して終わっている。5〜6回トライするもまだ内容はよくわからないまま。クレストブックスなんかシリーズで並べずにあちこちに散らばっている(本人の中では並べ方に必然性があるのかもしれないが)。このばらけ具合がじつによくて、『絶景本棚』(本の雑誌社)の春日武彦の本棚のように、ついじろじろ見たくなる魅力的な本棚だ。

科捜研の女」「相棒」「リーガルV」などのテレ朝の一話完結ドラマを何も考えずにボーッと見るのが好きなのだが、前から気になって仕方がないことがある。たいてい最後に犯人が逮捕され、そのまま連行されていくシーンで終わるが、犯人に家族や同居人がいれば問題はないけれど、一人暮らしだった場合、ベランダに干している洗濯物や、冷蔵庫の生鮮食品や、図書館の返却本とか、新聞をキャンセルしたりとか、誰か警察の人が対処してくれるのだろうか。一人暮らしなのでその辺がすごい心配。アクション映画でヒーローが通りすがりの一般人の車を借りて、派手なカーチェイスを繰り広げたあげくにボコボコになった車は、その後持ち主に返却されるのか、補償はどうなっているのかと『観なかった映画』に長嶋有が書いていたが、本当にそれも心配。