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ヨムヨムエブリデイ

本の流しそうめん

今月初の平日の休日。ゆっくり寝坊したいところだが、8時には起きて『虎に翼』を見る。一秒たりとも見逃さないぞという覚悟で。今期のルーティンになってしまった。昨日珍しく8枚切りの食パンを買ったので、ハム、チーズ、卵を挟みホットサンドをこしらえ、でかいマグカップになみなみ注いだカフェオレと一緒に食べる。うまいわー。洗濯ほかの家事などをしてから、自動車税を納めに行き、買物がてらぶらぶらして帰る。ひさびさの平日昼間のぶら歩き、楽しい。

午後はベランダにアウトドアチェアをだして読書。5月と10月はベランダで快適に本を読める。姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』(文春文庫)。2018年の夏に単行本がでて、2021年に文庫化されている。話題になったのがついこの間のような気がしていたが、もう6年も前なのだ。
刊行時は、タイトルとあらすじを読み、ああはいはい、そういう話ねと読まなくてもわかった気がして、流しそうめんのそうめんのように箸のあいだをすり抜けていったのだが、今回ストッパーになったのが島田潤一郎の『長い読書』だった。この中に『彼女は頭が悪いから』に触れた文章があり、それに影響されて読まずにいられなくなった。この小説のモデルになった事件を検索すると淡々と事実が書かれていて、ああはいはいそういう事件ねで終わっちゃうのだけれども、小説はそうはいかない。この胸糞悪いボリューミーな小説を一気に読まされてしまった。フィクションの力に圧倒される。勝手にわかった気にならずに読んでよかったなあ。『長い読書』ありがとう。