y o m u : n e l

ヨムヨムエブリデイ

246

246/沢木耕太郎

沢木耕太郎『246』(スイッチパブリッシング)を読む。これ装丁がすばらしいのだけれど、なにしろ大判なので携帯にはデカすぎるのが難。文庫だったらいのに。
四月二十五日の日記より

 晴れる。
 窓をすべて開け、暮れかかる外の景色を眺めながら、ビールを呑みはじめる。/南の窓からは、夕日の最後の光を浴びながら、東横線の高架を走っていく銀色の列車が見える。その向こうには、赤みを帯びた光をともした飛行機がゆっくりと羽田空港に降りていく。西の窓に眼をやると、濃い藍色の山々を背に、国道二四六号線の上に架かる高速道路を、ライトをつけはじめた車が流れるように走っている。それを見ているだけで、瞬く間に二、三時間が過ぎてしまう。ビールの缶が机の上に並んでいき、ホロッとした気分になってくる。/都会に暮らしているんだな、と思う。そして、それも悪くないな、と思う。 沢木耕太郎『246』(p.131)