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ヨムヨムエブリデイ

温泉めぐり

田山花袋

少し休みがとれたので明日から九州温泉めぐりの旅に行くことに。北国の好きな私は北海道希望だったが、旅の計画は友人まかせなので仕方がない。何しろ私は幹事能力ゼロだから。田山花袋 『温泉めぐり』によると、

しかし、何と言っても、温泉は別府だ。九州ばかりではない。日本でもこれほど種類の複雑した、分量の多い、それでいて、海にも山にも近く、平民的にも貴族的にも暮らせる温泉はまァ沢山はあるまいと思われる。別府に比べたら、伊豆の熱海や伊東などは殆ど言うに足りない。(中略)城の崎が好いとか、道後が好いとか、有馬が好いとか言うけれど、足一度此処に入ると、そうした温泉などは何でもなくなって了う。

熱海や城の崎や道後温泉よりもすげえ別府温泉がたのしみである。この花袋の『温泉めぐり』はもし今だったら、各温泉の写真入りで温泉ブログにでもなりそうな感じ。
旅のお供には、『溶ける街透ける路』 と中島京子FUTON』(講談社文庫)と吉田健一 『旅の時間』(講談社文芸文庫)を持って行くことにする。あいにく天気は悪そうだけれど、しっとりと雨に煙る温泉街というのも、失楽園(古っ)ぽくてなかなかいいかもしれない。