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ヨムヨムエブリデイ

この愛はメッセージ

日々の気温の変化についてゆけず、毎年今時分に体調を崩してしまう。おまけに歯医者通いまで始まって3月は憂鬱な幕開け。
午後から休みだったので、世田谷文学館で開催中の岡崎京子展に行く。途中カレー屋で腹ごしらえをしていると、隣りのテーブルに座った母親らしき人が娘(高校生ぐらい)に「ねえ、夕ご飯は何がいい?」と訊いている。今昼ご飯食べてるところだし、もう夕ご飯のことかよ、お母さん!と心の声でつっこんでいたら、娘が「い今お昼食べてるしぃー、もう夕ご飯かい」と答えたので、自分がいっこく堂になって、娘の声色でしゃべっているような気分だった。さらにしつこく問われた娘は不機嫌そうに「なんでもいい」と言い放った。「なんでもいい」か。懐かしい。「なんでもいい」と言っといて、煮魚なんかだったら「え〜、肉がよかったのに」と文句を言うに決まっている。
岡崎京子展、引き込まれた。「GINZA」3月号に「岡崎京子が女の子に大切なことをすべて教えてくれた」という特集があって、大きく出たな、と思ったが、まあそうかもしれない。岡崎京子エキスをチューチュー吸って大人になった。雑誌の読書特集で岡崎京子武田百合子の『富士日記』と山田稔吉田健一の本を挙げていて、それをきっかけに『富士日記』を読んでぶっとび、自分の読書傾向が大きく変わっていった気がする。「なんでもいい」なんて言ってる中高生時代は、色んなことが栄養になる。
世田谷文学館からの帰り、下高井戸から憧れの世田谷線に乗った。わくわくする。堀江敏幸のエッセイに世田谷線のすべての踏切を渡るというのがあったが、あれは回送電車のどれに収録されていたっけなどと考えたりしていたら、あっという間に三軒茶屋に着いた。2時間ぐらい世田谷線に乗っていたい。
先月の半ばに買い、ずっとかばんに入れている『辻征夫詩集』(岩波文庫)をぽつぽつ読んでいる。文庫の詩集はいいな。