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ヨムヨムエブリデイ

恵方巻きの「き」

今のボスが、イベント好きで寿司好きときているのでもしやと思っていたが、予感が的中、お昼に寿司屋から人数分の恵方巻が届けられた。いつもコンビニなどで買うのより上等なやつ。毎年恒例だとのこと。ええと西南西はどっち?こっちが南でこっちが西だからこの間ぐらいじゃないすか?村上春樹恵方巻なんか食べないってよ。シーッ!しゃべっちゃダメよ。お茶は飲んでいいの?なんかエロくない?だからシーッ!などと言いつつみんなでもそもそと太巻きを丸かじりする。奇妙な光景。しかし上等な太巻きはやはりおいしい。
しまおまほ『マイ・リトル・世田谷』を読んだ。小説が「ピーナツ」でエッセイが「柿の種」という感じだが、これはキラッと光る「柿の種」本だった。バランスがいい人だと思う。古風と今風、おもしろと感傷が同居している。不必要に(理由はあるのだと思うけど)漢字を開いたひらがなの多い文章を読むと、なんでこれをわざわざひらがなにするかなといちいちイラッとして精神衛生上よくないのだけれども、そういうストレスを全く感じさせない文章だった。
『杏のふむふむ』『シャバはつらいよ』『「あまちゃん」はなぜ面白かったか?』などを返却して、今日一番の目的だった山崎佳代子『ベオグラード日誌』『そこから青い闇がささやき』を借りる。読売文学賞効果で我ながらミーハーだなと思うが、こういうきっかけで、ずっと気になっていた本を手に取ることができて、ありがたい。さっそく『ベオグラード日誌』を読み始める。帰って、豆まきと今日2本目!の恵方巻(普通の)。

「いいですか、岡田様、岡田様もご存じのように、ここは血なまぐさい暴力的な世界です。強くならなくては生き残ってはいけません。でもそれと同時に、どんな小さな音をも聞き逃さないように静かに耳を澄ませていることもとても大事なのです。おわかりになりますか? 良いニュースというのは、多くの場合小さな声で語られるのです。どうかそのことを覚えていてください」
村上春樹ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編』(p.402)