休職明けの出勤日4月1日は、冷たい雨の降る凍えるような日だった。右手に杖、左手に傘を差しそろそろ歩いて出勤。職場は新年度ということで、人が入れ替わるは、制度の改正に対応しないといけないはでてんてこまい。半月ほど経ちようやく落ち着いてきたところ。
最初は、毎日疲労困憊で、割引シールの貼られたパック寿司や弁当を買って帰り食べたらもう何もできないで寝るだけの日が続いたが、体が慣れてきたようで少し余裕がでてきた。
昨年、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という新書がベストセラーになったが、私は、働いているほうが、本を読めるようである。朝夕の通勤電車と昼休みにばっちりコンスタントに読める。休みの日はここぞとばかりに集中してガッツリ読める。といっても、ついエッセイ集とか短めのものに手がのびてしまうが。先月今月に読んだもの。町田康『俺の文章修行』、若竹千佐子『台所で考えた』、石沢麻依『かりそめの星巡り』、津野海太郎『生きるための読書』、筒井康隆『敵』、平野啓一郎『富士山』、原田宗典『おきざりにした悲しみは』、三木卓『鎌倉日記 4』。久々に読んだ原田宗典の小説が原田宗典していて甘いけれどぐっときた。
今読んでるのが、三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』。2006年に直木賞を受賞し(約20年前!)、映画やドラマ化までされ、消費され尽くしたこの小説をまだ読んでなかったんですよ。それで入院中に「ご自由にどうぞ」の本棚からもらってきたもの。先に映像作品を見ているので、どうしても多田は瑛太で、行天は松田龍平になってしまうのだけど、え、なんでそれを今ごろ?みたいな時代遅れのおもしろエンタメ本を読むのって妙に楽しくて、この私的時代遅れ読書シリーズは続けていきたい。