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ヨムヨムエブリデイ

ふとんの中から

夏の間、早寝早起きで、朝の1時間を読書時間にしていたのだが、寒くなって朝ふとんから出るのがつらくなってしまった。それで、目が覚めてから、温かくて居心地のいいふとんの中で30分程本を読むことにしたらこれが結構具合がいい。寝る前は睡魔に負けてしまい、同じ行ばかり読んでまったくページが進まないが、朝は、少しずつ頭がクリアになってきて文章がスイスイ頭に入ってくる。ふとんの中で脳に助走をつけている感じ。

ここしばらくは、多和田葉子『研修生(プラクティカンティン)』を読む時間が毎日楽しみだった。これは読売新聞朝刊に連載された新聞小説で、毎朝届く新聞でその日の分をふとんの中で読むのを楽しみにしていた人もいただろう。私は後から来た者の特権、なのかどうかわ からないが、30分なので、だいたい1ヶ月分?ぐらいをまとめて読むことができた。
                            
本書は、1982年に西ドイツに渡った著者の半自伝的小説で、ハンブルクの書籍取次会社で研修生として働く22歳の主人公が、多くの人と出会い、少しずつ世界を広げていく日々が綴られている。ダイナミックなストーリー展開があるわけではないけれど、「わたし」の物の感じ方が面白くてズンズン読んでしまう。ディテールが素晴らしい。1982年の話なので、もしインターネットやSNSのある現在だったら「わたし」の苦労は少なかったかもしれないが、また別の苦労があるだろう。

先月読んだ朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』も新聞小説でとっても面白かった。新聞小説はここ数年に読んだものでも、川上未映子『黄色い家』、津村記久子『水車小屋のネネ』、松浦寿輝『無月の譜』、阿部和重『ブラック・チェンバー・ミュージック』、中島京子『やさしい猫』、角田光代『タラント』、平野啓一郎『本心』など面白いものがたくさんあった。

これまで読んだ新聞小説で、私の好きなものを挙げると、

がすぐに浮かぶが、多和田葉子『研修生(プラクティカンティン)』も上位に食い込んできた。