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ヨムヨムエブリデイ

僕の好きな文庫本(28)

泉麻人『大東京バス案内』(講談社文庫)

カバーイラスト・泉麻人 カバーデザイン・坂本志保

足を骨折して長い距離を歩くのがしんどくなってから、よくバスを利用するようになった。以前なら、余裕で歩いてた距離でもバスに乗る。電車では本を読めるけれども、なぜかバスでは気持ち悪くなって読めない。揺れの種類がちがうのだろうか。その代わり、電車より間近から見下ろす知らない町の景色が新鮮で、ずっと車窓を眺めていても飽きない。たまに時間のあるときに、目的地があるわけでもないのに、バスに乗るためにバスに乗ることもある。一日乗車券を買うと、どのバス会社もだいたい3回乗れば元がとれるようだ。都バスは500円で気ままにあちこち行ける。

笠間直穂子の『山影の町から』の影響で志賀直哉の「或る朝」を読みたくなり、ちくま日本文学全集志賀直哉の巻をポツポツと読んでいる。バス停のベンチで待つ間に一篇読み、バスに揺られ、うとうとし、終点でコーヒーを飲みながら、また一篇。こんなことが私には楽しくてたまらない。

昨秋ようやく文庫化された平田俊子の『スバらしきバス』を読んでいると、ますますバスに乗りたくなるが、自分の元祖バス本は、この泉麻人『大東京バス案内』だ。2001年に文庫化された(親本は1997年刊)。これを持って、わざわざ都民農園セコニックに行ったのが懐かしい。都民農園はなかったけれど。