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僕の好きな文庫本(25)

スティーヴン・キング死のロングウォーク』(沼尻素子訳、扶桑社ミステリー)

カバーデザイン・コガワミチヒロ イラストレーション・鏡泰裕 解説・奥澤成樹

「読んでから見るか、見てから読むか」は、1977年に公開された角川映画人間の証明』のキャッチコピーで、角川春樹が考えたものだそうだ。私はできれば読んでから見たい派だ。読んでる間、勝手にあれこれ脳内キャスティングをするのが楽しくてしょうがないから。見てから読むと、どうしてもその俳優の顔しか浮かばなくなってしまう。シャーロック・ホームズはジェレミー・ブレット(声は露口茂)だし、つぐみは牧瀬里穂で、風間教官は木村拓哉で、シロさんは西島秀俊だ。

本書『死のロングウォーク』は、1979年にリチャード・バックマン名義で出版された。キングの初めての小説といわれている。100人の少年が集められ、ひたすら南へ歩くだけという競技が行われる。この競技にはゴールはなく、歩行速度が落ちたものから射殺され、最後の一人になるまで続く。『バトル・ロワイアル』や『イカゲーム』に通じるものがある。先日『死のロングウォーク』の映画化が進行しているというニュースを見た。何度も映画化が話題になり実現しなかったが今度はどうなるのだろう。どちらにしても、先に読んでいるので安心だ。