今年は、新年があけていきなり人生初救急車(ストレッチャーに乗せられ病院の天井を見ながらぐるぐる運ばれていく時ドラマみたい!と思った)、初入院、初手術とうれしくない初づくしで、3月まで自宅療養、4月から仕事復帰して3ヶ月が過ぎた。勤務シフトを少し変えてもらい、ぎりぎりいっぱいいっぱいで働いていた頃に比べると、腹八分という感じで(もちろん給料も腹八分だが)このゆるさが結構自分に合っているなと思っている。怪我の功名と言ってもいいかもしれない。茅の輪くぐりをして今年前半の災厄を祓い、さっぱりした気分で後半を迎える。
6月に読んだ本では、金原ひとみ『YABUNONAKA ヤブノナカ』が印象に残っている。文芸業界における性加害の告発に端を発し、MeToo運動、セクハラ、パワハラ、搾取、SNS、マッチングアプリ、ワンオペ育児など全部乗せの群像劇。文芸誌の編集長、その息子、作家、その恋人など8人の視点から描かれる。章ごとに異なる語り手の年齢が上から下、下から上へとシンメトリーで男女交互の構成になっているので、年代、性別による差が浮かび上がる。それぞれに言い分がある。登場人物の中で自分に属性が近いのは横山一哉。波風立てず無難に仕事をこなし、おいしいものを食べ、趣味を楽しめればそれでいい。事なかれ主義者。
この本ではアップデートできない(しない)中高年男性がひどい目にあうが、そういう中高年男性は、あらすじの「性加害の告発」といワードを見た段階でこの本に近寄らない気がする。
昔はよかったなー、女の顔色なんか一切気にせずにセクハラ、モラハラ、パワハラやりたい放題、仕事から帰ってなーんにもしないでゴロゴロ転がっていると、ママや嫁が飯を食わせてくれて、身の回りのこと全部やってくれるし、育児や親の介護も丸投げでいい。その間俺は自分の趣味に没頭できるし、なーんもしないで寝ていてもいい。川本三郎『陽だまりの昭和』、関川夏央『昭和的』、沢野ひとし『ジジイの昭和絵日記』……昭和を懐かしがるおじたち。そんな自分も若い同僚と話していると、自分に内蔵された昭和を感じるのだが。
今年前半は、入院中のエンタメ三昧とか村田沙耶香の新刊とかいろいろ濃くて、充実した読書タイムでした。後半も読むぞ~。