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ヨムヨムエブリデイ

自分を消す

4月からの人事異動や、改正の準備などで慌ただしい毎日。半分以上残っている有給休暇が消えてしまわないように、半日でも取れそうなところにガンガン入れているところで、今日は午後半休をもらう。午前の仕事を終え、WBCの優勝で湧いている休憩室を後にする。WBCでいちばん印象に残っているのは、相手チームの選手は髭が濃ゆい!だった。ああ、腹がへった。井之頭ゴローさんのように小走りで店を探し、ナポリタンとサラダとコーヒーのランチセット900円で満腹。ナポリタンうま。ランチのピークを過ぎた店で、コーヒーを啜りながらしばし読書する。八木詠美『空芯手帳』(ちくま文庫)。解説は松田青子さんだ。理不尽な雑用、セクハラ、「女」だから演じるろくでもない役回りだらけの職場にキレて偽装妊娠する「私」。
ある日、職場にゼリーの差し入れが届き、「私」は箱を開けて気づく。

部署の全員に配るにはゼリーの個数が三つ足りない。私は頭の中で、まず自分を消した。あと東中野さんも。あとは今外出中の人がいないか考える。考えながら疑問に思う。どうして私は最初に自分を除外したんだろう。

わかるー。まず自分を消すよねー。ザ・自己犠牲。わかりすぎて切ない。


もう一冊、並行して読んでいるのは、北方謙三『完全版 十字路が見える Ⅰ 東風に誘われ』(岩波書店)。週刊新潮に8年間連載されたものが、全四巻の「完全版」として書籍化。岩波書店の特設サイトに編集者Nさんの熱いコメントが載っている。この連載については、
yomunel.hatenadiary.com
にも書いているが、「完全版」も読んでみるかと、まず一巻目から。でも、うーんという感じ。