y o m u : n e l

ヨムヨムエブリデイ

文字ファースト

朝晩、肌寒いくらいで、熱いコーヒーがぐんとおいしくなった。毎日朝食が楽しみ。
こないだの日曜日、友人とふたりでランチを食べに行って会計する際、店員さんが私の背後を見ながら、どうぞお連れのお子様にサービスです、折り紙セットかおえかき帳どちらかをお選びくださいと言った。得意満面な感じで勧めてくるので、いえ、子供はいませんと断りづらく、おえかき帳をいただく。店員さんが、ただ単に他の子連れ客と勘違いしただけなのだろうけれども、座敷わらし的な何かかもと、少し背筋がゾクッとした。

シャイニングみたいな表紙(写真荒木経惟)の町田康『私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?』を読んだ。これは、NHKのカルチャーラジオで放送された連続講座を書籍化したもので、放送時にすでに聞いていた。マーチダさんは喋りがあまり得意ではないようで、声が小さいし、えーと、えーとが多くて話がなかなか先に進まず、ラジオを聞きながらすんごくイラついていた。内容よりもそのときのイライラ感が強く印象に残っているので、今回、印刷された文字が、あまりにもするする頭のなかに入ってくるのに驚いた。耳からより目から。自分は文字人間なのだなあと思い知る。何でも文字にしてくれ。そのかわり、独特の間や、もたついた口調が文字になるとすっかり消えている。北杜夫『遥かな国 遠い国』所収の「三人の小市民」が魅力的に紹介されていて、思わず読んで(読まされて)しまった。