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ヨムヨムエブリデイ

梅雨 2nd season

日月と2連休。先週から梅雨のseason2が始まったと思ったら、この連休は晴れて暑さがぶり返す。夏の賞与が出て、今年も誕生日がきて、うな重とショートケーキを食べ、本を2冊買った。欲望が薄い人生は深みが足りないみたいに言われるけれど、こうして大好物の鰻とケーキを食べて本を買えば、それだけでもうゴキゲンである。自己実現とか世の中を変えたいとかそういう大層なこと考えて働いているわけではないし。

伊藤比呂美『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』が講談社文芸文庫入りしていた。2007年に刊行された単行本を読んでノックアウトされ、2011年に普通の講談社文庫に入ったのを購入した。今回の文芸文庫版は、単行本未収録とげ抜きスケッチ2篇が巻末にボーナストラックとして収録されていて、税込み2420円。手に取り思わず「高っ」と声がでちゃった。文芸文庫に入ったら殿堂入り、格が違うみたいな感じだろうか。佐伯一麦の『ノルゲ』が文芸文庫入りしたときも思ったのだが、現役バリバリの作家は普通の講談社文庫でよくないですか。

古本屋の均一棚で井上荒野『あちらにいる鬼』(朝日文庫)を買う。あまり食指が動かずに読まずにきていたのだけれど、100円だからいっかとなんとなく読み始めたら引き込まれて一気に読み終えた。なんでこんな男がモテモテなのかわからん。それで、ずいぶん前に読んだ井上荒野『ひどい感じ父・井上光晴』と「母のこと」(『赤へ』所収)を読み返したらこれまた面白かった。『ひどい感じ父・井上光晴』なんてまったく印象に残っていなかったのに、興味が向いているときは、脳の奥までスルスル入ってくるから不思議。じゃあ、前に読んだのが無駄だったのかというとそんなことはなくて、この脳の奥までギュルルルーンと入ってくる感覚を味わうための伏線だったのかと思う。たった100円でめちゃ楽しめる。