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ヨムヨムエブリデイ

往復書簡

晴れて暑い。昼休み、末井昭 春日武彦の往復書簡『猫コンプレックス母コンプレックス』(イースト・プレス)を読む。春日先生の本には、つい手がのびる。末井昭が「まえがき」に、「(春日さんとの)知識の差、読書量の差は歴然としているので、ペダンチックにならないこと、本からの引用は控えめにというシバリを入れさせてもらいました」(p.4)と書いている。春日先生のやたらと出てくる書物からの引用大好きなんだけどな。

私信が没後に発見されて公開されるのは、もし自分だったら、やめてー!舌噛んで死んじゃいたい(もう死んでるが)と墓の下で地団駄を踏みたくなると思うのだけれど、公開を前提に書かれている往復書簡は、その点読む方も気がラクだ。書簡という形式のリレーエッセイのようなものだから。新しいところでは、昨年の上野千鶴子 鈴木涼美の往復書簡『限界から始まる』(幻冬舎)が印象に残っている。

往復書簡といえば、リニューアル前の「クウネル」に連載されていた、いまとなっては伝説の「江國姉妹の往復書簡」が好きだった。あれはもう書籍化されないのでしょうね。『旅の仲間 澁澤龍彦堀内誠一往復書簡』ほどゴージャスでなくてもいいから、手書きのまま、まとめて読みたい。たろうちゃん(晴子さん)のファンだった。

文學界」6月号の川上弘美のインタビュー「循環する小説たち」は、これまでの川上弘美の小説総決算みたいな感じで面白かった。その中で、『ぼくの死体をよろしくたのむ』がリニューアル前の「クウネル」に連載されていたと言及されていた。未だに「リニューアル前」とか「昔の」とか「旧」とかを必ず頭に付けられる「クウネル」のかなしみ。