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ヨムヨムエブリデイ

BEDTIME STORIES

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「BEDTIME STORIES OSAMU'S MOTHER GOOSE」より

節電プリーズ、わたしらもスタジオの照明を落としていつもより暗い中で放送してるよ、とニュースのアナウンサーが恩着せがましく言っているので、帰って夕ごはん食べて風呂入ってからすぐ布団にもぐりこんで枕元のライトだけつけて本を読んだ。

本を読む状況の中で一番好きなシチュエーションは、一人用のテントの中で、パーカーをくるりと丸めた枕の右側にウイスキーのポケット瓶、左側にシエラカップを置き、ヘッドランプの光で本を読む、ということだろうか。/テントのむこうの谷川のせせらぎを聞きながら、本の中でおどる数億の活字サーカスの世界を、ウイスキーの酔いがまわって睡くなるまでじっくり楽しんでいく、というのが、とりあえず目下の自分の人生のしあわせ―なのである。 椎名誠『活字のサーカス』(岩波新書

ちょうど11年前も同じ状況で、同じことを書いていた。
図書館から借りたり、買ったりして枕元に積まれている本のタイトル。『異常 アノマリー』『私のいない部屋』『古典とケーキ』『ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク』『イントゥ・ザ・プラネット ありえないほど美しく、とてつもなく恐ろしい水中洞窟への旅』『コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎』『天使日記』『四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼』『水中の哲学者たち』など。むふふ、次はどれを読もう、あっちパラパラこっちパラパラしているときの幸福感。11年前の夜と同じことをしているのだけれども、考えてみるといつもの夜とも別段変わりはないのだった。