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ヨムヨムエブリデイ

明日がある

3月。本年度の有給休暇は今月中に消化しないとチャラになってしまうのに、全然休める状況ではない。
原田宗典が90年代の終わりに世界の紛争地帯を旅して記した『やや黄色い熱をおびた旅人』の、

「T君にとって、平和ってどういうこと?」
「平和、ですか……」
T君は煙を吐き出しながらしばらく考え込み、
「……明日があるってことじゃないですかね」
と答えた。           (p.197)

という会話が印象に残っている。このエピソードは、小説の『メメント・モリ』にも使われている。
いや、もうほんとそれ、明日がないと困るよ! 今、アンディ・ウィアーの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読んでいるのだけど、正直なところ、上巻は、『火星の人』と同じじゃないかと、読むのがだるくなりかけたりもしたのだが、下巻の途中から、続きを読みたくてたまらなくなった。早く続きを読みたいのに、読めるのは、昼休みに慌ただしく昼食を食べながらの20分、仕事帰りの電車に揺られながらの20分、布団に入ってから寝るまでの20分。ただし寝る前の20分には睡魔という強力な敵がいて、顔面に本を落下させてきたりするので油断ならない。この計1時間ちょいの読書時間をひたすら楽しみに毎日過ごしている。鼻先にぶら下がったニンジンのようなもの。もしこれがなくなったらと思うと悲しい。

外を歩いていて桑田佳祐の「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」が流れてくると、妙に歩調が合っていることに気づいて恥ずかしい。綾瀬はるかか。いかんいかんとワンテンポずらしてわざと歩調をずらすが、油断すると、いつの間にやら「やる気満々で曲に合わせて軽快に行進する人」みたいになっている。歩調って合わせるのは簡単だけど、乱すのがこんなにも難しいなんて。