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ヨムヨムエブリデイ

新訳地獄

子供が休みになったのでやむを得ず休んだり、濃厚接触者になり休んだりする同僚が続出し、人が足りない。ここにきてコロナとの距離がぐっと縮んだ感じ。そんな日々の合間にモーム の『お菓子とビール』(岩波文庫)をちびちび読み進め、読み終えた。巻末のモーム略年譜が興味深い。
10代の頃に読み、あまり印象に残っていない『月と六ペンス』をまた読んでみようかと思う。その時読んだのは新潮文庫中野好夫訳で、モームシリーズの淡いグリーンのカバーがかっこよかった。今読むならせっかくなので新訳で読みたい。『ジゴロとジゴレット』『英国諜報員アシェンデン』を新潮文庫金原瑞人訳で読んでいるので、これも金原訳にしようかと思い、入手しやすい文庫を何の気なしに調べてみたら、

こ、こんなにあるの?カズオ・イシグロ土屋政雄訳にも惹かれるわ~、でもリーズナブルな値段だしスピンも付いてるし、やはり新潮文庫かなあ。決められん。新訳地獄。
さらに、少し前に金原瑞人の新訳で刊行された『人間の絆』(新潮文庫)も、来月、光文社古典新訳文庫からシェイクスピア河合祥一郎による新訳(タイトルは『人間のしがらみ』原題Of Human Bondage)が出るようだ。「絆」と「しがらみ」か。「絆」っていうと、なんとなくポジティブなニュアンスで使われているけれども、怖い言葉なのだと思う。
で、『月と六ペンス』どうしようか。決められん。こんなときは、赤瀬川原平の『優柔不断術』(ちくま文庫)を読むに限る。この本は私のお守りのようなものだから。