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ヨムヨムエブリデイ

Cakes and Ale

大寒。朝冷え込む。待望の午後半休の日。忙しかった午前中の処理が長引いて14時頃退勤。同僚から教えられた近くの店でランチをとる。なんかオーガニック的なランチ。物足りない。15時に予約していた美容院でひさびさに散髪しさっぱりした。今行っとかないとますます行けなくなりそうで。首元がすっきりしたのでマフラーを巻くのが楽しくなる。『ミステリと言う勿れ』の主人公が、いかにもざっくり適当に巻きました風に巻いているマフラーも、スタイリストさんが左右のバランスからシワの寄り方まで完璧に計算し尽して巻いているのだろう。自分もそんな感じで大胆かつ慎重に巻く。

コートのポケットに文庫本がすっぽり入って便利なので冬の外出用の本は文庫率が高い。今日のおともはモーム 『お菓子とビール』(岩波文庫)。岩波書店のホームページに連載中の佐藤正午「小説家の四季」2022年冬号を読んだら手に取らずにいられなくなってしまった。自分で思っている以上にモームは特別な作家かもしれないと書いている。そこで引用されている『お菓子とビール』の書き出しの部分。

 かねてから気がついていたことだが、誰かが留守中に電話をかけてよこして、帰って来たら直ぐに電話をかけてくれ、大切な要件なんだからと言伝ておくような場合には、その要件というのは、むしろその男にとって大切なもので、われわれにはあまり大切でない場合が、かなり多いものである。

これなんて、いかにも佐藤正午の書きそうな皮肉まじりの文章ではないか、ぜひ『お菓子とビール』を読もう!と思った。自分の場合、がっつりした書評より、こんなふうにエッセイとかで軽く紹介される本に惹かれることが多い。がっつりした書評は、その本を読んだ後に、答え合わせ的な感じで読みたい。
Web東京創元社マガジンで最近始まった「深緑野分のにちにち読書」やtree-novel.comの「斜線堂有紀のオールナイト読書日記」や「阿津川辰海・読書日記」も読みたい本がどんどん増える危険な連載。読書日記は面白い。