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僕の好きな文庫本(4)

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安西水丸『アマリリス新潮文庫

カバー・安西水丸 解説・清原康正

ムスカリからのアマリリス。昔は、安西水丸といったら、「村上春樹の本のイラストを描く人」という認識しかなかったが、純粋にそのエッセイや小説を愛読するようになったのはいつ頃からだろう。最初の『村上朝日堂』の巻末に、文・安西水丸、画・村上春樹と立場逆転のコラムが付いていたが、それが初めてだったかもしれない。そしてこの『アマリリス』が著者初の小説集。エロくて、エモくて、ちょっとエグい、男の3E小説。90年代に刊行された小説『手のひらのトークン』『冬の電車』『十五歳のボート』『荒れた海辺』『草のなかの線路』『丘の上』などはどれも淡く印象に残っている。
『アマリリス』の担当編集者だった方の追悼文「水丸さん逝く | honya.jp」もよかった。