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ヨムヨムエブリデイ

自伝的

緊急事態宣言が解除されたが、日々の生活に特に変化はない。職場は、年度末でバタバタしているが、毎年この時期に催されるめんどくさい歓送迎会の類がない、あるいは縮小され、個人的には喜んでいる。

中野翠『コラムニストになりたかった』と群ようこ『この先には、何がある?』を読んだ。2冊とも自伝的エッセイ。チルドレンの頃は両人の熱心な愛読者で、年末に刊行される中野翠のコラム集を毎年風物詩のように楽しみにしていたが、いつの頃から離れていってしまった。群ようこも近頃読んだのは、漢方薬と片づけのエッセイ集ぐらい。でもこの自伝的エッセイとか自伝的小説は大好物なので食指が動いた。いろいろ興味深く、ミーハー欲が満たされる。

ここ何年かでは、島田マゾ彦君の『君が異端だった頃』、馳星周ゴールデン街コーリング』、中森明夫『青い秋』、山口ミルコ『バブル』などが印象に残っている。生島治郎『浪漫疾風録』シリーズや、常盤新平『片隅の人たち』も文庫復刊を機に楽しく再読した。自伝的小説になると、実在のモデルの名前が微妙に変えられていたりして、それを特定しながら読むのも楽しい。『青い秋』はその変え方が微妙過ぎて可笑しかった。70、80年代の文芸関係の自伝には、たいてい中上健次が顔を出している気がする。

桜は、過去もっとも早い満開だそうだが、通勤途中の桜はまだほころびかけ。咲き急がないで、もっとゆっくり咲いてほしい。